2011.06.15 (水)   K2Couple No.0324 

衝立岩 中央稜
ついたていわ ちゅうおうりょう(群馬県)
1,383m
憧れの一ノ倉沢で本チャンデビュー 

コース最大標高差 : 510
コース累積標高差(+) : 510
コース累積標高差(−) : 510
コース沿面距離 : 3.0 km
行動時間 : 13'25"

* 距離と累積標高差は GARMIN GPS data です

 正面に聳える衝立岩

  3:30 = 藤岡IC/上信越道・関越道/水上IC = 4:40 一ノ倉沢出合P

 一ノ倉沢出合P 5:20 ... 5:55 テールリッジ取付 6:00 ... 6:25 【BF】 6:40 ... 7:30 衝立岩基部 7:50 ...

 13:05 衝立ノ頭 【L】 13:30 ... 16:55 衝立岩基部 17:05 ... 18:10 テールリッジ末端 ... 18:45 一ノ倉沢出合

 一ノ倉沢出合19:05 = 19:50 沼田夢庵 20:45 = 沼田IC/関越道/高崎IC = 21:40


衝立岩の場所


遂にやってきましたこの日が ・・・
クライマーの憧れの地、谷川岳一ノ倉沢デビューの日です。
梅雨真っ只中で先週土日の天気が悪く、きょうにずれ込みました。

たっくんとおいちゃんがコソコソ相談している頃から、はらっぱは衝立岩のネームバリューに押し潰されて良く眠れない日が続いていました。
ニ子山で足の爪を傷めているし勝手に行けば〜と抵抗したのですが、「これで卒業だから」 とか囁かれて、渋々登山届に名前を載せてしまったの。

谷川岳の危険地区は谷川岳遭難防止条例に基づいて、登山日の10日前までに届け出ることが義務付けられています。

 関越道水上IC

未だ夜が明けきらない3時に起きて、たっくんと約束した一ノ倉沢出合駐車場に向かいます。

高速道路で迎えた朝は、雲が真っ赤に染まって美しい。
湯檜曽を抜け、マチガ沢から見える一ノ倉沢は朝日に輝いています。
梅雨時のピーカン。

 マチガ沢から一ノ倉沢へ

平日なので人出はないと思っていましたが、数台の車がありますね。
クライマーとカメラボーイたち。
出発する人たちを見送りながら、私たちも身繕いをします。
ストレッチも。

身も心も装備も準備完了、出発です。
トイレの上には綺麗なタニウツギが咲いていました。

きょうは真剣勝負なのでオチャラケなしです (^^;

 一ノ倉沢出合駐車場 (backは笠・朝日方面)

一ノ倉沢は、出合から何度も眺めた風景です。
が、K2隊がまさか足を踏み込もうとは夢にも思っていなかった。
お師匠たっくんあればこそです。

美しい姿は魔の山とは無縁のように見えます。
思い起こせば群馬に転居したあと、おいちゃんが真っ先に連れて来てくれたのがこの場所でしたよ。

あれが衝立岩の中央稜と北稜、でその左は烏帽子沢奥壁南稜、滝沢スラブetcと説明を受けます。


私は雪渓歩きに自信がないので、アイゼン装着。
枯草の絡んだ汚れた雪渓。

 一ノ倉沢のレクチャーを受けるおいちゃん

  【 アプローチ 】
                     ▲ 衝立岩中央稜登攀ルート (注)ルートを示す白線はイメージです
                          ▲ 出合に新調されていた一ノ倉沢概念図

雪渓を少し登ったところで、先行の男性が「シランネアオイが咲いてるよ」
言われて探したけどありません。
「左の斜面だよ」
ホントだ、でも咲いてたのはサンカヨウの花でした(^^

この時期は、雪で埋まっているので楽にテールリッジに着く事ができます。
雪が割れてしまうと、ヒョングリの滝を高捲くので大変なのだそうです。
高捲いてから懸垂で下りるんだって。

 サンカヨウ
 一ノ沢です              雪のブロックが散乱

テールリッジの末端に着く。
衝立岩が目の前に屹立していますよ。
厳しい風貌で見下ろしています。

アイゼンを外し、ストックと一緒にまとめてデポして行きます。


 テールリッジ取付から衝立岩を見上げる         ▲ テールリッジ末端壁を登るたっくん

岩が乾いているのでみんなスタスタ歩いて登って行くのに、はらっぱはテールリッジの末端壁で早くもズルズルと滑ってしまいます (^^;
真面目にやれ

おいちゃんとたっくんが先行し、はらっぱの面倒見は本間さん。
そうです、先日のニ子山のときと同じメンバーです。
【REPO】

テールリッジにはフィックスロープが張られています。
切れそうになってますので、余り信用は出来ませんけど ・・・。
はらっぱの為にたっくんがロープを出してくれて、コンテで登る。

 テールリッジに取り付くはらっぱ

中央稜に取り付いている先行パーティーが見えます。
クライマーは出動時間が早いですね。

花がボチボチ咲いていました
お花さん 可愛いね〜と声を掛けたら、お花さんが言いました。
はらっぱさん 可哀想だね〜。
・・・・・
 同情かい

 ベニサラサドウダン

樹林帯の急登を抜けた最初の岩場で、朝食にしようと意見まとまる。
腹減ったし。
岩と雪とお花を見ながら、コンビニB.F.ですよ。

テールリッジの上部を行く。
スラブ状の岩ですが、よく滑ったような気がする。

 マチガ沢を隔てる東尾根
 衝立岩北稜とコップ沢               ▲ ツガザクラ
 ウラジロヨウラク                 アカモノ
 秋のように爽やかな雲だった          ▲ テールリッジを登る  アップ
                               ▲ 大迫力の衝立岩
 はらっぱ奮闘す           ▲ 衝立岩基部で準備









 中央稜は、烏帽子沢奥壁と衝立岩正面壁を分ける
 急な岩稜で、南稜とともに一ノ倉沢の入門ルートと
 して人気が高い。

 南稜と比べると上半部はブッシュに覆われ、下半部
 も土のルンゼから巻く所が多くていまひとつすっきり
 しないが、途中に現れる数ピッチのフェースは岩も堅
 く快適で、初心者には楽しめる。




 取付はテールリッジを登ってつき当たった所で、正面
 やや右の凹状部から左のカンテを登る。
 ここは逆層気味で、初めて岩登りをする人などはまず
 面喰らう所だろう。

 烏帽子側のルンゼを登り、再び衝立側に出た所が第
 2フェースと呼ばれる岩場で、ルート中の核心部だ。
 V−、または人工混じりの2ピッチでこれを抜け、さらに
 2ピッチやさしい岩場を登ればブッシュ帯に入る。

 

 なお、このルートは下降にもよく使われ、衝立ノ頭から
 8〜10回の懸垂下降で基部に降り立つことができる。




                                資料出所不明


  【 1P目 】 40m W


 中央稜に取り付いたパーティはかなり上まで登っており、後続パーティもないので、マイペースで登ることができそうである。
 最初のピッチは左上する簡単なルートである。
 前半は傾斜が緩いので、どこでも登れる。
 終了点の手前で傾斜がきつくなるが、ホールドがはっきりしているので、はらっぱも快調に登っていった。
 終了点は安定したテラスである。

                                      --- 解説はたっくんmemoによる ---


不要品をザックに詰めてデポし、アタックザックで身軽になる。
靴も履き替えますが、足指のことを考えてはらっぱのアプローチシューズだけ持参することにする(懸垂下降用に)。

ビレイシステムは、二子山のときと同じ。
本間さんが終始リードで、赤ロープはたっくんとはらっぱ、青はおいちゃん。

後続の♂♀カップルが追いついてきましたが、挨拶を交わして南稜へ。
きょうは貸切状態なので、安心して登れそうです。

 7:50 登攀開始

まず凹角から左のカンテを乗越す。
ここは逆層のフェースだが、それほど難しくはなかった。
順調。

滝沢スラブに滝のように水が流れ落ちている。
左隣の烏帽子南稜を登っている人が見えた。
そして、下を振り返ると歩いてきたテールリッジや駐車場が見えます。

 リードの本間さん♪頑張って
         気を付けてね〜                   次ははらっぱ                  右は衝立岩正面壁
            凹角                     エスコート役のたっくん                ラストのおいちゃん
 1ピッチ目の終了点       ▲ 中央稜テールリッジと一ノ倉沢雪渓

  【 2P目 】 25m V


 出だしはテラスから一段下がったところを左にトラバースし、泥のルンゼに入る。
 泥のルンゼは簡単であるが、浮石に注意が必要である。
 泥のルンゼからリッジへトラバースするところが分かり難くいので、通り過ぎないように注意が必要である。
 トラバースするところが結構イヤらしい。
 本間さんはノープロテクションでトラバースしたが、途中にあるハーケンできちんとランニングビレイを取るべきである。
 このままでは初心者には危ないので、拓哉が先に行き、まずハーケンにランニングを取り、更にクラックにカム2ケを入れてランニングを
 増やして戻ってから、K2C夫妻をトラバースさせた。
 トラバースしたところでピッチを切るが、傾斜のきつい狭いレッジなので、はらっぱにはかなりの恐怖だったようである。



2P目は、出だしから左にトラバースするが、その最初がいやらしい。
そこからは泥のルンゼを登る。
浮石が多く、落とさないように登るのに気を使います。

 最初はトラバース       ▲ テラスで見送るおいちゃん

私が読んだレポでは、殆んどの人がルンゼを抜けたところでピッチを切っていますが、たっくんは更に右にトラバースしたところまで伸ばしてビレーするように指示。

ここは誰の記録を読んでも、きわどいトラバースと書いてある場所です。
もし落ちちゃったらロングフォールになるので、上からビレーできるように途中にランニングをセットしてくださる優しいたっくん。

ズリズリトラバースすると、ビレーしてくれてる本間さんの優しい顔が見え、スタンスの指示もあって何とかスムーズに移動が出来ました。
そうです、はらっぱを登らせるための壮大なプロジェクト総力戦です(^^

ただ2P目の終了点は、足が半分しか乗せられない僅かな幅しかないので生きた心地がしません。
座らせろとは言いませんが、せめて普通に立たせてよ。
メインロープでセルフビレーを取ってるけど、ガッシリ岩に掴まるはらっぱ。
本能的に自分の手しか信用できない悲しい性。

2P目終了点(65m)にして、激しい高度感です。

 泥のルンゼに入る
     ▲ ルンゼの中に泥が詰まっている           ビレー工作するたっくん)                魔のトラバース
 2ピッチ目の終了点         ▲ ヒメイワカガミさん♪おはよう

  【 3P目 】 25m V


 リッジからフェースを登るピッチである。
 この辺りは終了点が何箇所かあり、好きなところでピッチを切ることができるが、核心の手前までロープを伸ばした。
 リッジを登リ切ったところには安定したテラスがあり、しっかりした懸垂支点がある。
 その上のフェースは露出感があり、クライミングらしくなる。
 終了点はフェースの狭いレッジである。


全員揃った終了点で準備中に、上から3名懸垂で下りてきました。
普段の山登りと一緒で、クライミングでも基本は登り優先だそうです。
が、構わず下りてくるので、コールしてその合い間を登りますね

下りてきた人に、懸垂ルートはそっちじゃないよって、たっくんが指南する。

3P目はカンテを右に廻り込んで、凹角から気持ちの良いフェースに抜けるピッチです。
ちょっと記憶が曖昧ですけど (^^;

 頭の上に下りて来た人

このピッチから、おいちゃんが先に登る。
おいちゃんは順調にこなして行きます。

あの様子では、私も楽に行けそうな
このピッチのグレードは2ピッチ目と同じVですが、モロはみ出し感(?)のトラバースがないので楽勝です。



フェースは、開放感たっぷりで気持ちよかったような ・・・。
クライマー気分に浸っちゃいました。

ときどき姿を見せる群馬県警の
へたっぴ〜なクライマーがいるぜって、言ってるに違いありません。

 もう少し
 会心のガッツポーズ

         ▲ 3ピッチ目の終了点も激狭

そして、またしても狭い終了点。
靴の幅しかないフェース中間の岩棚(レッジ)。
要するに、フェースの途中でピッチを切っているようなもん。

立っているだけで疲れるよ
ピクピク。

 せまっ

  【 4P目 】 25m W・A0


 ルートの核心のチムニーを登るピッチである。
 チムニーの中はホールドがしっかりしており、ハーケンの間隔が短いので、安心して登ることができる。
 出口の部分がちょっと難しくなるが、左側のフェースに抜けて登ると楽に登ることができる。
 はらっぱも、ゆっくりであるが着実に登っていった。
 登リ切ったところは比較的広いテラスとなっており、一息つける感じである。

 滝沢スラブ              ▲ 滝沢の下部
                       ▲ 核心ピッチのフェースをリードする本間さん
        ▲ フェースからチムニーへ         チムニーを抜けるか左フェースに逃げるか         ▲ セカンドおいちゃん
         ▲ はらっぱも突っ込む                   チムニーへ                    大胆なムーブ

4P目は中央稜ルートの核心ピッチらしいです。
ここも、おいちゃんが先に登った。

本谷上部の雪渓は雪が割れており、これが崩落するときは魂を揺さぶるような大音響をたてて本谷にこだまする。
まるで、山そのものが崩れるような錯覚に陥る。

 ブロック雪崩の巣窟
                               ▲ お〜い、大丈夫か〜
 は〜い、お疲れさま          ▲ 群馬県警ヘリのお散歩です

チムニー上部を抜けるのが難所との情報でしたが、何度も登ってルートを知り尽くしているたっくんは、チムニー途中から左のフェースに移るように指示を飛ばします。

それでもホールドは細かく、苦労しました

 4ピッチ目の終了点で

一ノ倉沢衝立岩 後半 へ