2010.07.19 (月)   K2Couple No.0280 

越後(魚沼)駒ヶ岳
えちごこまがたけ(新潟県)
2,003m
  道行山 1298m 小倉山 1378m 駒ヶ岳 2003m
暑かったぁ  遠かったぁ   けど  

コース最大標高差 : 940
コース累積標高差(+) : 1420
コース累積標高差(−) : 1420
コース距離 : 16.5 km
行動時間 : 11'25"

* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません

 滝ハナ沢源頭を登る

  12:30 = 藤岡IC/上信越道・関越道/小出IC = シルバーライン = 15:00 奥只見湖(銀山湖)16:25 = 銀山平 =

 16:55 かもしかの湯 17:40 = 18:00 枝折峠登山口P

 枝折峠P 4:10 ... 4:50 明神峠 4:55 ... 5:50 道行山 ... 6:50 小倉山 6:55 ... 7:35 百草ノ池 【L1】 7:55 ... 9:30 駒ノ小屋 9:40 ...

 10:10 駒ヶ岳 10:20 ... お花畑 ... 10:45 駒ノ小屋 【L2】 11:05 ... 11:55 百草ノ池 12:05 ... 12:40 小倉山 12:50 ...

 14:50 明神峠 15:00 ... 15:35 枝折峠P

 枝折峠P15:55 = 16:25 大湯温泉ユピオ 17:55 = 小出IC/関越道・上信越道/藤岡IC = 19:45


 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

越後駒ヶ岳の場所

銀山平温泉 銀山平キャンプ場 かもしかの湯 (¥500)  大湯温泉 湯之谷交流センター ユピオ (¥500)


 汽車旅行で窓から遠く見える山を一つ一つ確認していくのは、私の大きな楽しみである。
 上越線の清水トンネルを抜けて、越後魚沼の野を下って行く途中、私の眼を喜ばす山が次々と現れてくる。
 普通魚沼三山と呼ばれるのは、駒ヶ岳、中ノ岳、八海山である。
 石打あたりから眺めると、八海山が見え、その右肩に駒ヶ岳が覘き、さらに右に続いて中ノ岳が全容を見せている。
 汽車の進むにしたがって、まず駒が隠れ、五日町あたりで中ノ岳も姿を消し、ただ正面に八海山だけが大きい。
 その頂上のギザギザ並んだ岩峰群、その右に続く最高点の丸山の円頂が、ハッキリと見てとれる。
 小出に近づくと、今度は八海の左に駒ヶ岳が出て、それが完全に八海と離れ、ついで駒の右へ中ノ岳が再び顔を出す。
 そして小出からは、中ノ岳を中央にして、右に八海、左に駒、三つの山がキチンと調和のある形で並ぶ。
 ここで初めてわれわれは魚沼三山という名称の当を得ていることを合点する。
 多雪の地であるからそれらが純白に輝く時の偉観は、二千米の山とは思われない。
 (中略)
 魚沼三山は水無川の上流を包んで三角形に立っている。
 そのうち一番高いのは中ノ岳2085米、一番名の聞こえているのは信仰登山でにぎわう八海山であるが、私があえて三山の代表として駒ヶ岳を
 挙げたのは、山としてこれが一番立派だからである。
                                   深田久弥『日本百名山』より抜粋


魚沼地方の駒ヶ岳が、一国の名を冠して越後駒と呼ばれるようになった。
何年も前からずっと頭の片隅にしまっておいた越後駒ヶ岳。
ようやく登るときがきた。

三連休の中日に登るつもりで土曜日の午後出発したのに、関越トンネルを抜けると雷雨です。
そのうち止むだろ。
しかし、だんだん雨足が強くなり、稲妻が絶え間なく光ってますよ。
各地の土砂崩れのニュースが頭をよぎり、小出ICから逃げ帰ってきました。

おいちゃんによると、枝折峠のR352は危ないんじゃないかって。

 土砂降りの関越道


翌日気を取り直して、またまた小出ICをめざすオットリK2隊でした。

猛暑の群馬から脱出して、涼しい新潟で過ごそうという安易な考えです。
お昼を食べて家を出る。

ところが新潟(小出)も暑いです。
33℃でした(驚)。
こりゃまいったなあ。

 果たしてトンネルの向こうは?

銀山湖まで行けば涼しいかな?

十数年前友人夫妻と大湯温泉に泊まって、訪れた懐かしい奥只見ダム。
そこでだらだらして時間を潰そうか。
そうしよ そうしよ (^^。

大湯温泉から奥只見シルバーラインに入ると、トンネルの中は14℃天然クーラーです。
でも涼しかったのはトンネルの中だけ(^^;

 奥只見シルバーライン

あの時は遊覧船に乗ったよね ・・・ 思い出話をしながらお散歩です。
折角なので奥只見電力館も見学します。
勉強勉強

ここは人造湖としては日本最大級で、貯水量は黒部ダムの約3倍。
日光中禅寺湖よりやや広い。
重力式としては 高さ日本一だそうです。
見学者もなく暇そうにしていた係員が案内してくれました。

見学を終えてお土産屋さんへ。
早めの夕食(焼肉でパワーアップ?)を食べて銀山平へ移動します。

 奥只見湖(銀山湖)の連絡船
 ダムサイトで       ▲ 電力館を見学する殊勝なK2隊です

平安時代、平清盛に都を追われ、湯之谷村で最期をとげた尾瀬三郎中納言藤原房利の立像を見た後、近くの温泉「かもしかの湯」でさっぱりします。



 10年前、銀山平に無料の温泉があった。
 そこから引泉しているらしい。

 温泉からは荒沢岳が綺麗に見えました。

 悲恋の主人公尾瀬三郎さんのまねっこ        ▲ かもしかの湯

国道352号の新潟魚沼市から福島檜枝岐村にかけての区間は山深い奥只見地方をたどるルート。
典型的な山岳国道の様相を呈しているが、舗装されていた。
昔はダートで崖っぷちの恐ろしい道というイメージが強い。

銀山平から細い道をクネクネ走って、駒登山口の枝折峠に着きました。

 整備された枝折峠に昔の面影はない

明日登る予定の人や下山してきた人を交えて話が弾みます。
お隣の庄内No車は百名山をめざしている酒田市の同年輩単独♂です。
巻機山からの梯子です。
彼は八海山の二合瓶を抱えて、すでに出来上がっていました。
鳥海山の情報をしっかり仕入れます。

午後6時過ぎに下山してきた男性二人に、何時に出発したのか訊ねると「6時です」との返事。
暮色濃い7時頃にも、ヨレヨレ夫婦が下山してきました。
とにかく暑かったらしい。
彼らの様子を目撃して、不安がいっぱいのK2隊です。

 枝折峠の駐車場

夕日が雲間に沈み、8時に眠剤を半分飲んで眠りに就く。

10時に眼が覚めちゃった。
ぎゃ〜満天の星です。
でっかい星がいっぱい降っていました。
次々にライトを照らして車が入ってきます。

蚊取り線香忘れた
やぶ蚊との戦いに疲れて、うとうとする。

▲ 明日の晴天を約束する夕日です


3時半頃になると起き出す人や、出発して行く人がボチボチ出てきます。
私達もシュラフをたたんで、お湯を沸かしテルモスに詰める。
あわただしく4時にスタートです。

東の空が少し明らんで、ヘッ電なしでも歩けました。
荒沢岳のシルエットが素敵です。

 荒沢岳を見ながら登ります
 北ノ又川沿いに銀山湖まで雲が溜まってる           ▲ 銀の道十合目の明神堂

銀の道と交差し明神峠にさしかかる頃、日の出を迎えます。
振り返ると、未丈ヶ岳の肩から太陽が昇ってきます。
この太陽に痛めつけられることになるとは ・・・

めざす駒ヶ岳もほんのり桜色です。
かっこいいけど遠いねえ。
左の荒沢岳もかっこいいよね。

 未丈ヶ岳の肩から朝日が昇る
 朝日に目覚める荒沢岳(左)と、てっぺんに雲を冠った越後駒(右)

緩い潅木帯のアップダウンが始まりました。
無風高湿度、汗が噴出してきます。
三人組のおじさん達も、玉のような汗を流していました。

花はほとんどなく、変わり映えのしない道が続く。
たまにニガナや小さいタニギキョウが咲いているくらい。

サワサワと飛んでいるトンボのお陰で、小虫(ブヨ)はいなかった。

 荒沢岳を見ながら

NHKためしてガッテンの「疲れない山登り」を実践する。

@演歌を歌いながら登ると疲れない ・・・
急な登りでは歌えないし、第一私の頭に浮かんだ演歌は水戸黄門の主題歌だったのよ。
「じ〜んせい楽ありゃ苦もあるさ〜」どうも調子が出ません。

おまけに後ろからおいちゃんが速く歩けってつっつくし。
私のペースはボロボロ。

 湿地帯を行く(たまに木道あり)

とりあえず目の前のピークを越えなくちゃ〜。
明神尾根は道行山の分岐を過ぎると方向が変わり、駒ヶ岳が良く見えるようになります。

駒ヶ岳は山頂に真っ白な雲を冠ってカッコいいです。
昨日は凄く良い天気だった前半とは裏腹に、山頂ではガスってしまい展望もなく下る途中で雨に降られたとの話だった。

きょうは期待が持てますが、山の天気ですから何ともいえませんけどね。

 道行山を過ぎると駒の勇姿が

登山道は綺麗に木道や階段が作られている場所もありますが、グチャグチャに糠っている場所が多い。
これじゃ靴が可愛そうですよ。

文句タラタラ歩いていると小倉山の分岐に着きました。
小倉山を越えて駒の湯に下りる道の分岐です。

単独おっさんが早くもここでへたってました。
がんばれ〜まだ中間点だよ。

 小倉山分岐の立派な石盤

小倉山の先も、大蛇の背中みたいな尾根がゆったりと駒ヶ岳の手前に立ちはだかっているように見える。
だいぶ近づいてはいるけど、まだまだって感じですかね。

微妙にアップダウンが続きます。
余り整備されていない、歩きにくい道です。

 すっかり雲が取れた駒ヶ岳

百草ノ池に到着、と言っても標柱だけ。
周りはお花畑ということで楽しみにしていた場所でしたが、立ち入り禁止になっていて、標柱のところはのんびり休む場所もありません。
無理やり休んでを食べましたけど ・・・

通り過ぎて振り返ると、池の周りはハクサンコザクラ群落のピンクで染まって見えましたよ。

駒ノ小屋に泊まった人たちが下山してきます。
きょうは素晴しい眺めですよ ・・・ と励ましてくれますが。
だったらいいな〜。
昨夜の小屋は超満員だったそうな。

 百草ノ池を見下ろす
 ガクウラジロヨウラク ヤマアジサイ コイワカガミ マイヅルソウ
ネバリノギラン タニウツギ ノウゴウイチゴ ヤマツツジ
ツボスミレ アカモノ ヒメシャガ ミヤマママコナ タテヤマリンドウ

                              ▲ あのスラブの上が駒ノ小屋 山頂はまだちょっと見えないね
 いよいよ大詰め             ▲ はらっぱ絶好調

百草ノ池からは、ただひたすら登ります。
滝ハナ沢と大チョウナ沢の源頭に挟まれた痩せた岩稜を行き、滝ハナ沢側の広いスラブに出る。
山登りはこうでなくっちゃね。
いよいよと言うか、ようやく小屋下の最後の岩場になりました。

ここを登れば何度も写真で見た駒ノ小屋です。
冷たい美味しい水が待っているはず。

そして雪渓と草原の越後駒がデ〜ンと見えるはず。

 自然のステップが多く登りやすい
 早くガスの中に入りたい          ▲ クサリは撤去されたようです

岩場を乗り越えると、台地上に建つこじんまりとした小屋にとび出す。
着いたぞ〜。
う〜水がうまいなぁ。

ザックの紐も背中もびっしょり。
バンダナは絞れるほどビショビショです。
汗かきまくって登って来たもんね。

 中ノ岳方面
                              ▲ 駒ノ小屋から駒ヶ岳

小屋の裏でシャツを着替えます。
ザックをデポして、とにかく山頂に行ってこよう。
雪渓は後退して草原が広がっていました。

伸びやかな登山道が山頂に続く。
ここまで2時間くらいで来られればいいのにね。
5時間のつもりだったのに、ちょっとオーバーしちゃいましたよ。

 山頂に向かいます

やっとフラワーロードになりました

ハクサンコザクラがいっぱい咲いています。
ピンクというより、もっともっと濃い紫っぽい花が可憐です。

雪渓から駒ノ小屋まで雪解け水ホースが埋設されてますよ。

 彩やかな色合いのハクサンコザクラ
                              ▲ ハクサンコザクラさん会いに来たよん

右にも左にも三角形の雪田が残っています。
キンコウカの蕾が沢山あるので、もうすぐ黄色い花を咲かせることでしょう。

小さな雪渓を登って稜線に上がると、正面にでぇ〜んと八海山が大きく目立っていました。
懐かしい八ツ峰です。【REPO】

八海山から駒ヶ岳を眺めたけど、こんなに近く感じなかったね。
きょうは大きく、くっきり綺麗に見えています。

 駒の雪渓
▲ 【北】 浅草岳の左奥に守門岳?
 【西】 八海山と左奥には巻機山、谷川岳
 【南】 上越国境の山々

右に僅か登れば山頂です。
360゜の素晴しい眺めですが、中ノ岳、八海山、荒沢岳、巻機山のほか東や北の山はよく分かりません。
多分あれが未丈であれが浅草かな?と思いながら眺めます。

八海山の右下には魚沼市の町並が見えています。
大湯温泉や小出の町も見えますね。

 越後駒山頂で

帰りも時間がかかりそうなので、ゆっくりしてはいられません。
でもお花畑にチョッとだけ寄り道しますね。
分岐から中ノ岳縦走路に少し下ります。

駒登山道にはなかったハクサンチドリやハクサンフウロ、ミヤマコウゾリナなどが咲いていました。
ニッコウキスゲも、すぐそばにポツンポツンと咲いています。
こっちに来る人は殆どいませんでした。

 ニッコウキスゲと中ノ岳
 斜面に咲くハクサンシャクナゲ              ▲ クモマニガナ
キジムシロ コメツツジ ショウジョウバカマ シロバナニガナ
タテヤマリンドウ ハクサンフウロ ミツバオウレン ハクサンシャクナゲ
                        ▲ 駒ヶ岳斜面のハクサンコザクラ群落と駒ノ小屋

小屋に戻って ためしてガッテンA ・・・ 味噌汁です。
春に作っておいた蕗味噌をテルモスに入れてきたお湯で溶かします。
う〜ん、美味やね!・・・生き返りますよ。

ペットボトルとテルモスに冷たい水を入れ替えて下ります。
容器を持つ手が痛くなるほど冷たいんだぞ〜。
ザックがまた重くなっちゃったけどね。

 勢いよく流れる雪解け水

最初は岩場の急な道を下って行きます。
福島県側の北ノ又川の源流(滝ハナ沢)の雪渓からは、雪解け水が滝のように音をたてて流れ落ちていました。

ためしてガッテンB ・・・小股で下ると疲れない。
そりゃ〜わかってるけど、小股で下ろうにも急な段差の道ではどうしようもありませんよ。
そんな道の多い駒登山道です(^^;

 景色が良ければルンルン下り
 さようなら駒ヶ岳、そして中ノ岳も

展望が開けて登りで休んだ場所では、山頂を振り返りながら名残の休憩をしました。
あとはモクモクと下るのみ。
山頂はだんだんとガスに包まれてきましたが、自分達の歩いている場所はカンカン照り地獄です。

歩いてる場所だけ日陰になればいいのに ・・・ と愚痴りながら歩きます。
普段の行いが悪いから?

 前のカップルもヤケ下り

同じ場所をグルグル廻ってるんじゃないかと思うくらい変化のない登山道。
それに気の抜けない根っこと浮石の道なのです。
吹き出る汗を拭いながら歩きます。

駒ノ湯への分岐を左に分けて、右に下ります。
ひぇ〜、まだ半分かいね。
歩かなくっちゃあ。
休んでいては帰れない。

水溜りには、でっかいオタマジャクシがまっくろくろすけ。

 お蔭様で木道は歩きやすい

途中で木の階段を整備している人達がいました。
県から発注されているのだそうです。
ここは越後三山只見国定公園。

私達が山頂近くにいる時 が荷揚げしていたのですが、土嚢を下ろしていったのだそうです。
どの階段や木道も20年の刻印が捺してありました。
少しずつ整備されて、その内きっと歩き易い道になるのでしょうね。
もう来ないかもしれないけど(^^; 中ノ岳、大水上、丹後の稜線も魅力。

 同じような景色が廻る

銀山湖が大きくなり、山肌を削るR352が見えるようになるともうすぐです。
ようやく元気が出てきて花の写真を撮ったりします。

クソ暑い一日だった。

 銀山湖が見えてきました

下山記念に一枚。

ザックを下ろして靴を脱いで、靴下も脱いで。
たまらない開放感です。

濡れたシャツを着替えて、大湯温泉へまっしぐら。

 登山口の情報掲示板

国道からず〜っと駒ヶ岳が見えていました。
こんなにもどっしりとして大きな山だったことに改めて驚く。
昨日はシルバーラインを通ったので、山は見えなかったのです。
ヘナチョコ隊が、よく日帰りできたねと二人で満足感に浸ります。
ちょっと時期が悪かったかも。

温泉から上がると、おいちゃんは休憩室で寝てました。
起こすと可哀想なので、起きるまで産直野菜を買ってのんびり待ちます。

 R352から越後駒ヶ岳

食事をして元気をつけようと道の駅に寄りますが、6時で終了してた。
家で食べよ。

高速からも駒ヶ岳が綺麗に見えました。
深田久弥が書いているように、駒ヶ岳、八海山、巻機山などが眼を楽しませてくれる飽きない帰路です。

前橋まで少しだけ渋滞しましたが、快調に走行。
暑くて疲れた百名山でしたが、これでやっと頭から越後駒ヶ岳が消えます。
群馬の本日の最高気温37℃。

 関越道大和PA付近から越後駒ヶ岳

 伊香保・渋川IC付近 (右は榛名の裾野)           ▲ GPS data by KASHMIMIR 3D