2007.09.29〜30 (土日)   K2Couple No.0175 

五龍岳
ごりゅうだけ(長野県・富山県)
2,814m
遠見尾根から雲海に浮かぶ五龍岳

コース最大標高差 : 1,282
コース累積標高差(+) : 2,065
コース累積標高差(−) : 1,760
コース距離 : 17.6 km
行動時間 : 15'15"
* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません
 小遠見山から堂々たる五龍岳
  5:00 = 藤岡IC/上信越道/更埴IC = 7:35 白馬五竜テレキャビンとおみ駅P
 とおみ駅 8:15 《五龍テレキャビン》 8:25 アルプス平 8:35 ... 8:45 地蔵ノ頭 ... 9:00 見返坂 9:10 ... 10:00 小遠見山 【L1】 10:15 ...
 10:30 中遠見山 ... 11:15 大遠見山 【L2】 11:45 ... 12:15 西遠見山 ... 14:15 五竜山荘 【泊】

 五竜山荘 5:25 ... 6:35 五龍岳 6:40 ... 7:20 五竜山荘 7:35 ... 10:10 唐松岳頂上山荘 ... 10:30 唐松岳 10:35 ...

 10:50 頂上山荘 【L】 11:15 ... 11:50 丸山 ... 12:10 扇雪渓 ... 13:00 八方池 ... 13:50 八方池山荘
 八方池山荘 14:00 《八方アルペンライン》 14:45 八方駅 《TAXI》 14:55 テレキャビンとおみ駅P15:05 = 15:15 十郎の湯 15:55 =
 更埴IC/上信越道/藤岡IC = 13:00

 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

五龍岳の場所

五竜山荘(¥9,000)    白馬 かたくり温泉 十郎の湯 (¥500)


 北安曇から後立山連峰を眺めると、高さは特別ではないが、山容雄偉、岩稜峻氏A根張りのどっしりした山が眼につく。
 それこそ大地から生えたようにガッチリしていて、ビクとも動かないと言った感じである。
 これが五竜岳だ。
 北は大黒の岩峰を経て唐松岳へ続き、南は八峰キレットの嶮によって鹿島槍岳に連なり、昔は後立山縦走中の難所であった。
 (中略)
 それはまるで岩のコブだらけの、筋骨隆々といった上体を現している。
 他の山々のように美しくスマートではない。
 ゴツゴツした荒々しい男性的な力強さをそなえている。
 更に立派な五竜岳を見たい人は、唐松岳の上から眺めることだ。
 そこからの五竜は壮大である。
 越中側の餓鬼谷の底から頂上まで一気にせりあげた姿勢は、実に堂々としている。

                                                    
深田久弥『日本百名山』より抜粋



 雑事に追われ、久々の山行です。
 紅葉のこの時期、毎年北アルプスへ出かけているが今年の秋は天候不順で目的地が定まらず。
 晴れマークの出ている越後駒希望のはらっぱを無視して、何とか晴れて欲しい五龍にした。
 今年も、娘が婆ちゃんの世話を快く引き受けてくれました。

八方尾根を登った方が楽そうですが、悪天のためピストンになった場合を想定して遠見尾根を登ることにします。
雨が降る中、車に荷物を積み込んで家を出る。
長野県に入ると雨は止み明るい兆しです。

テレキャビンとおみ駅駐車場で、隣の車の人から声をかけられます。
うっそ〜、二日前も母推の定例会で一緒だった同じ町の高山さんだった。
彼女達(玉村HC)も同じコースを登るとか・・・

さて、テレキャビンに一番乗りしてアルプス平へ。

 白馬五竜テレキャビンとおみ駅

いよいよ長い登りの始まりだ。
地蔵ノ頭から少し下ってまた登ると見返坂のベンチで休憩。
一面のガスで静かなことこの上なく、一ノ背髪も通過してひたすら登ります。
紅葉は未だ始まったばかり。

「上は晴れてますよ」 と、下山者に励まされる。
昨日は風が強く雨だったが、今日は朝から良い天気だって。
よしよしヤル気満々、早く上に行きた〜い。

 紅葉の始まった尾根をひたすら登る
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二ノ背髪を通過する頃、ナナカマド越しに山がくっきりと姿を見せる。
雲海の上に、白馬や八方尾根が浮かんでいます。
振り返れば雲海がどこまでも広がっていて、頚城の妙高、火打がぽっこりと
頭を出していた。

後から来た人も歓喜の声を上げ、感動を共有する嬉しさ。
しかし瞬く間にガスが湧き上がり、全てをかき消してしまいます
見えたり隠れたりの繰り返し。

 いきなり白馬三山です
                                ▲ 遠見尾根の先は五龍岳そして唐松岳、白馬三山
ノリウツギ アキノキリンソウ ヤマハハコ カライトソウ シラネニンジン
オヤマリンドウ ベニバナイチゴ ミヤマリンドウ ウラジジロナナカマド ミヤマコウゾリナ

二ノ背髪から小遠見山に至る快適な道からは、ガスの悪戯の間に緩やかな起伏を見せる長大な遠見尾根が見渡せる。
ガスが切れれば、秋の雲が散らばっている。

先は長いぞ、ゆっくり行こう。

 二ノ背髪から小遠見山に向かう
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今年の西暦年と同じ標高(2007m)の小遠見山に着く。
遠見尾根上の屈指の展望台だ。
見えたり隠れたりしている山の展望をおかずに、最初のランチです。
おにぎりと梨、漬物。
いつの間にか5、6組のグループの塊になった。

おいちゃんがここで爺ヶ岳の左に槍ヶ岳を発見。
すると皆が振り返ってWoo!!

休んでいる間に後から来た人がどんどん先に行く。
先が長いので、ランチを切り上げて私達も急ごう

 五龍岳を背に小遠見山で
 はるかに槍ヶ岳      ▲ 小遠見山から下リながら五龍岳を見る

中遠見山は小さなケルンがあったが狭いので通過する。

大遠見山では数人が休んでいるし、鹿島槍の眺めも良い。
さっきのランチが中途半端だったので、又してもランチ休憩です。
今度はカップラーメン。
食べてばっかり。

そしてここでも数人に追い越された。

 中遠見山付近から五龍岳

シラビソやダケカンバの登りを頑張ると池が現れた。

更に頑張って登ると、二つ目の池に出て西遠見山の標柱が。
ここは広くて、休憩する人が数人いた。
山頂と言う雰囲気ではないじゃんと、おいちゃんクレームつける。
明るい草原に囲まれた西遠見ノ池は、夏はお花畑みたい。
今咲いているのはミヤマリンドウだけだったけど。

池に逆さ五龍が映っています。
中央のゴミみたいのは、おいちゃんの必殺ティカータスポーズでして
見えないのが残念です。

 西遠見ノ池に映る逆さ五龍
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どんどん五龍が近づいて、デジカメに収まらないくらい大きくなってきましたが、まだ先は長いですよ。

ずっと鹿島槍の北峰しか見えなくて、らしくなかったがやっと南峰も見えてきて鹿島槍らしくなる。

 双耳峰になってやっと鹿島槍らしく

西遠見山から崩壊した尾根を行き、ダケカンバが開けるとカールと五竜山荘が視界に入ります。
五竜山荘が見えてくればこっちのもの、嬉しくなる。

いったん下って白岳の登りにかかる。
クサリ場が三ヶ所あった。

白岳を越える最後の急登は、ヘロヘロ隊に引導を渡すには充分すぎです。
「小屋に着いたら、今日のうちに五龍をピストンしよう」 という甘い計画は遥か彼方に飛んでいってしまいました。

 何でこんなに下っちゃうのよ

ナナカマドやムシカリの実が、真っ赤に色付いてきれいですね。
シラタマノキやクロマメノキは沢山ありますが、花はオヤマリンドウくらいだった。

 ウラジロナナカマドの赤い実と白岳
                              ▲ 西遠見山を下る途中から五龍と白岳のカール
                          ▲ 双耳峰の鹿島槍を後方に控えて、でっかく聳える五龍岳と五竜山荘

白岳山頂からは大展望です。
唐松に伸びる稜線がひと際大きくなりました。
8年前に歩いた八方尾根が懐かしいです。
そして、ここから見る五龍は一段と大きく、威風堂々何でも来いという感じ。

山頂をめざして登っている人が見える。

 明日縦走予定の唐松岳
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 縦走路と遠見尾根の分岐(白岳)          登ってきた遠見尾根を見下ろして

天気予報のせいか、小屋は空いていた。
小屋の外で、缶ビールをひとつ飲んだら、身体が冷えてきちゃった。
受付順の夕食は一巡目。
カレーだった。

同室の女性が高山病みたいで、気の毒です。
談話室風の施設はなかった。
一人一つの布団に入って、ゆったり寝る。

天気は下り坂で、夕日も星も便りなし。

 やっと着きました五竜山荘


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外は雨です。
朝食は早いもん順で、並んで5時に戴く。

ヘッデンを点けて、いざ山頂をめざして出発しますが、雨のせいか寒さのせいか腰痛と足の痺れでリタイアです
はらっぱをアタック隊に指名し、私はサポート隊(?)を務めます。

気を付けて行っておいでとサポート隊に見送られる。
おいちゃんは学生時代に後立山連峰を縦走した時山頂を踏んでいるので、無理して行かなくてもいいらしい

 雨をついて五龍ピストンに出発
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一人じゃ心細いけど、アタック隊に指名された以上山頂まで行かなきゃね。
頑張って一人で登り始めたが、程なく団体さんが追いついてきたので何気に紛れ込んで一緒に登ることにした。
シメシメ。

サポート隊は暖かいお茶を持っていたのに気付いて、後を追います。
山頂手前のG2ノ頭付近まで前進し、寒風と雨に打たれて待機する。
これって結構きつかったよ。
お茶がさめないように抱きかかえて。
 と言うか、多分お茶で暖をとってる

 小屋からピストンの人が多く賑やかです

キレットとの分岐に着くと、団体さんはここで終わりにすると言う。
「誰か一緒に山頂に行きませんか?」と訊いても誰も返事してくれないので、仕方なく一人で歩き始めたら数人付いて来る。
シメシメ。

分岐から5分で着いた。
取り敢えず証拠写真を傍にいた人にお願いします。
山頂はガスで何にも見えず、時折鹿島槍のてっぺんが見えたり隠れたり。

 念願の五龍岳ピークです
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天気は回復の兆しもないし、おいちゃんが心配して待ってると思うので下ることにします。
初めは一人だったが、またしても団体さんに追いつき一緒に下る。
心強い。

唐松方面が綺麗に見えたので写真を撮ると、下の岩の上においちゃんが立っているのが見えた。
何度も手を振ったのに、おいちゃんは気がつかない。
大分下ってやっと私が分かったみたいで、コールをかけてきた。
遅いっつうの

 G2ノ頭下に立っているおいちゃん

小屋に戻りザックを回収して唐松岳へ向かう。
雨は本格的に降り始めていた。

気温はそれほど冷え込んではいないようだったが、黒部の谷から吹き上げる風が寒いですう。
足元のウラシマツツジが真っ赤に色づいている。

 五龍を後にします
 チングルマの穂              ウラシマツツジ
 イワツメクサ               シラタマノキ

ハイマツ帯の広々とした斜面を最低コルまでどんどん下ります。
1時間ほど歩いて、砂礫の広場で一本立てる。

立山・剱岳が見えた。
(立山方面が見えたのはこの時だけで、ラッキーだった)

 最低コルを過ぎた広い砂礫帯から五龍

岩の上には、ライチョウが淋しそうに1羽。

大黒岳を越え牛首に続く岩稜帯に取り付く頃は、ガスは巻いていなかった。
両側に鋭く切れた岩場は雨で濡れていますが、クサリが付けてあるので安心です。

 雷鳥さん♪一人ぽっちかい
                                ▲ 6人partyが先行する
クリックで拡大クリックで拡大
                                         岩稜帯の通過
クリックで拡大クリックで拡大
          中間地点で一息入れます(backは五竜)                           核心部を登るはらっぱ


 唐松岳頂上山荘に着き、ザックを置いてまずは空身で唐松岳を往復する。
 8年前の宿題をようやく片付けます。
【REPO】

                               ▲ 唐松岳と不帰ノ嶮  そして天狗ノ頭、白馬鑓へと続く

ハイマツの斜面を20分程で山頂に立つ。

雨が降っているにもかかわらず、五龍がド〜ンと控えています。
ガスの絡んだ不帰の嶮や白馬までも見渡せる。
誰もいない山頂でお互いの写真の撮りっこです。

下っている途中で振り返ると、間一髪 唐松岳の姿はガスに消えていた。

 唐松岳山頂
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小屋に戻り、一人300円の休憩料を払って食堂に入れてもらう。
上下のアウターは勿論、ズボンの裾までずぶ濡れ。
髪の毛は風呂上りのようだった。

五竜小屋の弁当を少し食べて、壁の写真を見る。

本降りの雨の中、下山開始です。
山はもうどこも見えなくなっていた。

 唐松岳頂上山荘


八方尾根のルートは8年前と少し変わっていた。
尾根上を行けたところが下に迂回していたり、小石の歩き易い道が岩ゴロの歩き辛い道になっている。
丸山の急斜面は×印が付けられて、緩やかな道だけになっていた。

  この尾根でも二ヶ所でライチョウに出会った。
  雨降りの方が安心して食事ができるのかな?

  わっ! 飛んだ。
  ライチョウが飛んでったよ。

 八方尾根のライチョウ

扇雪渓は小さいながら残っていた。
もうすぐこの上に新雪が降る。
この付近はナナカマドが密生しているので、紅葉したら見事でしょう。

こんな雨降りの日でも登って来る人がいて数人とすれ違った。
上ノ樺まで下ると、葉っぱが綺麗に色付いてようやく山は秋の趣です。

 山懐に抱かれた静かな散歩道
オオシラビソ タカネスミレ オオヒョウタンボク タムラソウ ハクサンタイゲキ
タカネナナカマ ハクサンシャジン タテヤマウツボグサ ノコンギク ゴゼンタチバナ

  八方池が見えるとホッとします。
  でも人の姿は全くなし。
  天気が良ければ観光客で混雑する名所。

  湿原コースを下る。

                 ▲ 八方池の草紅葉

八方池山荘が見えてきたけど、命の綱のリフトが動いていません
え〜、マジですか

ようやくリフトに辿りつくと、動かしてくれた。
何だ客待ちしてたのか、驚かさないで下さいよ。
貸切のリフト2本繋いで、二日間の山歩きが無事に終わろうとしている。
八方ゴンドラも閑散として、商売になりません。

山麓駅で濡れたカッパを脱ぎ、少しばかり身奇麗にしてタクシーに乗り。
温泉への近道を教わりながら、テレキャビンまで送ってもらう。
十郎温泉に浸かり、二日間の汗を流します。

 丸山に見守られて今回の山旅も終わり

 一日目は素晴らしい天気に恵まれ、二日目も雨に降られはしたが近くの山は見えたので、まずまずの山行だった。
 途中のSAで暖かいラーメンを食べて、高速道路もずっと雨だった。