2002.07.26〜27 (金土)   K2Couple No.0070 

白馬岳(三山縦走)
しろうまだけ(長野県・富山県)
2,932m クリックで拡大
 白馬岳 2932m 杓子岳 2812m 鑓ヶ岳 2903m
憧れの大雪渓と咲き乱れる山の花

コース最大標高差 : 1,690
コース累積標高差(+) : 2,330
コース累積標高差(−) : 2,330
コース距離 : 20.5 km
行動時間 : 17'45"

* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません

 杓子岳分岐から振り返る白馬岳

  21:40 = 藤岡IC/上信越道/更埴IC = 0:30 白馬村 1:00 = 1:30 猿倉 【車中泊】

 猿倉 5:30 ... 6:45 白馬尻 6:55 ... 7:20 大雪渓取付 ... 9:35 葱平 9:40 ... 10:30 小雪渓 ... 11:00 水場 【L】 11:25 ...
 12:55 頂上宿舎 17:55 ... 18:35 白馬岳 19:00 ... 19:20 頂上宿舎 【泊】

 頂上宿舎 5:55 ... 6:05 丸山 ... 6:50 杓子岳分岐 6:55 ... 7:50 白馬鑓ヶ岳 8:05 ... 8:25 鑓温泉分岐 8:30 ... 大出原 ...

 9:40 沢 【L1】 10:10 ... 10:35 白馬鑓温泉 10:50 ... 11:05 沢 【L2】 11:15 ... 12:45 雷岩 【L3】 13:00 ...
 13:10 小日向のコル ... 14:50 猿倉
 猿倉 15:15 = 15:30 小日向の湯 16:05 = 更埴IC/上信越道/藤岡C = 19:00

白馬岳の場所    

村営頂上宿舎 (¥8,600) 八方温泉 小日向の湯 (¥400)


 白馬岳は、西側の越中や越後側では、大蓮華山と呼ばれた。
 北に位置しているから雪が多い。
 その白雪に輝く山容が、日本海側から見ると蓮華の開花に似ていたからだという。
 信州側から仰いでも実に堂々とした貫禄を持っている。
 しかし私はこの山を東西の横から眺めるよりも、南北の縦から望んだ姿が好きである。
 縦から見た白馬岳は、横から見たのと、別人の観がある。
 東側が鋭く切れ落ち、キッと頭を持ち上げたさまは、怒れる獅子といった感じをいつも私は受ける。
 颯爽たる姿である。

                                             深田久弥『日本百名山』より抜粋

前夜発で深夜に白馬村に着き、宿泊施設を探すつもりでいたのですが。
面倒くさくなり、そのまま猿倉の駐車場に直行した。

駐車場はわずかな空きスペースがあるだけだったので、まっすぐ来て正解だったみたい。
早速、車の中で仮眠する。 

 猿倉の朝

目を覚ますと、雪を抱いた白馬岳の雄大な尾根が朝日に輝いて見えた。
気分は早くも大雪渓に飛んでいる。

空は突き抜けるような碧さだった。

白馬尻からアイゼンを付けて夢の大雪渓に入ります。
白馬岳まで標高差1,700b。

登山者は多くはないが、それでも雪渓上にはちょっとした行列ができた。
なるべく行列から離れて登ります。

 大雪渓をめざす行列
                              ▲ 大雪渓に取り付く
                                 ▲ しんどい登り

落石に注意を払って登りますが、もし石が自分に向かってきたらどっちに逃げればいいのか判断できるかどうか不安です。
逃げて石に当たったらどうしよ。
最悪のパターン。

浸食を受けて急峻な白馬岳信州側に位置する大雪渓は、殆ど直登のため傾斜がきつい。
はらっぱ快調。

それにしても、凄い登山ラッシュ。

 大行列やん
                           ▲ 葱平から見下ろす蟻んこの列

花の葱平に辿り着く頃には、おいちゃんボロボロになってしまう。
腹の調子もイマイチのようだ。

大雪渓を見下ろせば、登山者が蟻んこのように見える。
ガスが蟻の行列を追いかけるように湧き上がってきていた。

小雪渓をトラバースし、水場で大休憩にします。

 葱平
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 迫り来る雲海の端っこ  小雪渓のトラバース  杓子とシナノキンバイ
                                ▲ 杓子岳天狗菱

へたった身体に追い討ちをかけるように、葱平上部の登りもきつかった。
よいしょよいしょ。

 大休憩の登山者

それでも、聳え立つ杓子岳天狗菱や可憐な花に励まされながら、よたよたと小屋に着く。

 小屋が見えました

受付を済ませて、丸山まで散策に出た。
残念ながら、意地悪なガスが全てをかき消してしまいます。

諦めて小屋に戻り、今日の疲れを昼寝で癒して明日のための鋭気を養う。

シーズン真っ盛りだと言うのに、思ったより小屋は空いていた。
棚のベットも空き床が目立つ。
ラッキ〜。

 着いたじょ〜
 旭岳            ▲ 頂上宿舎裏のテン場
▲ 散策中だよん              ▲ ウルップソウ
 シナノナデシコ  シナノキンバイ  シロウマアカバナ  オダマキ

夕食のあと、暮色に染まる白馬岳にいそいそと出かける。
白馬山荘は、でかすぎて自然に馴染まないみたい。

杓子岳、白馬鑓ヶ岳に連なって鹿島槍の双耳峰。
はるか彼方に槍、穂高が望まれた。
目を右に移せば立山、剱が堂々とその存在を誇示している。

ガスもすっかり消えて。
北アの静かな夕陽が旭岳の方向にゆるゆると落ちて行った。
雲間の日没を確かめた後、白馬山荘の横を抜けてザレた斜面をぶらりぶらりと小屋に戻った。

 大雪渓
 岩峰から夕陽を眺める人  白馬岳山頂  念願の白馬
                            ▲ 暮れなずむ杓子と白馬鑓
                                ▲ 立山・剱岳


                            ▲ 山の朝は気持ちが引き締まる
                             ▲▲▲ 白馬岳を振り返って名残を惜しみます

静かな夜明け、いよいよ白馬連山縦走です。
山の朝は気持ちが引き締まる。

コルから見上げる白馬鑓はでかい。

 でっかい白馬鑓ヶ岳

杓子岳は体力温存のためにトラバース道を行く。
振り返ると、白馬岳と杓子岳はガスがかかって表情豊かに連なっていた。

 杓子捲き道から剱と毛勝山
                             ▲ 白馬鑓の登りにかかる
                                      ▲ 辿ってきた稜線
 ゆるゆる登ります  岩稜を行く  白馬鑓山頂ゲット
                            ▲ 白馬鑓山頂から白馬岳
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それでも景色や花に気を取られているうちに、山頂に着いてしまった。
山頂で、またしても360゜の展望。

 白馬鑓山頂から白馬岳

展望を満喫したし、そろそろ帰ろうか。
ここを下れば鑓温泉への分岐は近い。

さて、いよいよ稜線から離れて、高山植物の宝庫に突入です。
大出原ですよ。

 白馬鑓って良かったね
 白馬鑓から天狗方面  白馬鑓温泉分岐  お花撮り隊

信州側斜面はお花畑の連続、雪渓と花の競演も大出原でピークを迎えた。

チングルマ、コバイケイソウ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、コマクサ、ハクサンコザクラ etc。
花の前でしゃがみ込んでばっかりいるので、ちっとも前に進みませんよ。

 稜線を離れてお花畑へ
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お花畑越しに見る山の姿は優しくもあり、逆に花との対比でかえって険しく見えたりした。

腕や首筋がジリジリと音を立てて焼けてゆく暑い日差しが照りつける中で、あちこちに残る雪渓の雪解け水が渇いた喉には最高の恵みとなった。


ニッコウキスゲで飾られたクサリ場を通過して、鑓沢沿いに下ると白馬鑓温泉小屋に到着。
泊まりたいなあ、泊まらない、泊まりたいよう、泊まれない。
まだ先が長いので、泊まるどころか入浴もパスです。
残念という言葉は、今日のためにあった。

 大出原のチングルマ
▲ ハクサンイチゲ            ▲ ミヤマダイコンソウ
▲ タカネツメクサ            ▲ ホソバツメクサ
▲ アオノツガザクラ            ▲ チシマギキョウ
▲ ミヤマアズマギク              ▲ コマクサ
▲ シモツケソウ             ▲ チングルマ
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 鑓温泉上部のクサリ場  鑓温泉から雪渓が続く  杓子沢


 温泉の硫黄臭さに誘惑されながら、小日向のコルまでは杓子沢などの大小様々な沢をトラバースして行く。
 靴の幅しかない今にも崩れそうな斜面の道や、空洞の出来た雪渓の通過が連続するので、油断出来ない状況が続く。
 滑落すれば、下には雪渓が大きな口を涼しそうに開けて待っています。

 小日向のコル付近は湿地が多く、いろんな花が賑々しく咲いていた。
 まだまだうんざりする悪路が続き、林道が見えた時にも雪渓と見間違った程だ。


 コバイケイソウ ▲ キンコウカ  ハクサンコザクラ

 猿倉荘で仲良く半分こして飲んだかき氷と牛乳が、細胞にしみわたってゆく。
 久しぶりのロングランで消耗した身体を白馬八方温泉で復活させるには時間が少し足りなかったが。
 楽しみにしていた白馬三山縦走を果した実りある2日間のフィナーレを飾るには充分過ぎる露天風呂だった。