2001.09.23〜24 (日月)   K2Couple No.0051 

北 岳
きただけ(山梨県)
3,192m
快晴に恵まれた日本第二の高峰

コース最大標高差 : 1,670
コース累積標高差(+) : 1,685
コース累積標高差(−) : 1,685
コース距離 : 12.1 km
行動時間 : 14'10"
* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません
 草スベリから北岳バットレス

  2:30 = 本庄IC/関越道・圏央道・中央道/甲府昭和IC = 6:15 広河原P

 広河原P6:45 ... 7:30 【BF】 7:45 ... 8:50 第二崩壊地(大樺沢渡渉点)9:05 ... 9:55 大樺沢二股 10:05 ... 12:45 御池分岐 12:55 ...
 13:20 小太郎尾根 【L】 13:45 ... 14:15 北岳肩の小屋 【泊】
 肩の小屋 6:20 ... 7:15 北岳 7:30 ... 8:05 肩の小屋 8:30 ... 10:20 大樺沢二股 【L1】 11:05 ...
 11:45 第二崩壊地下部渡渉点 【L2】 12:05 ... 13:00 広河原P
 広河原P13:55 = 15:20 甲府 = 17:35 秩父 = 18:55


  この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

北岳の場所

北岳肩小屋 (¥5,500)  広河原ロッジ (¥600)


 わが国第二の高峰でありながら、あまり人に知られていないのは、一つにはこの山が謙虚だからである。
 どうだおれは、といったような、抜きん出て人の眼を惹こうとするするところがない。
 奇矯な形態で、その存在を誇ろうとするところもない。
 それでいて高い気品をそなえているいつも前山のうしろに、つつましく、しかし凛とした気概をもって立っている。
 奥ゆかしい山である。
 この北岳の高潔な気品は、本当に山を見ることの好きな人だけが知っていよう。
 白峰三山の中でも、北岳は形がスッキリしていて、清秀な高士のおもかげがある。
 南の間ノ岳や農鳥岳から見ても立派であるが、少し近すぎる。
 むしろ北の駒ケ岳やアサヨ峰まで退いて望んだ時の北岳の姿は、まさに絶品である。
 屹と天を突くような鋭い頭角をあげ、颯爽として軽薄でなく、ピラミッドでありながら俗っぽくない。
 惚れ惚れするくらい高等な美しさである。
 富士山の大通俗に対して、こちらは哲人的である。
 しかもその肩から上の秀抜さを支えている、下半身の腰廻りの大きいことはどうだろう。
 これほどドッシリした土台を踏まえた峰は稀である。
 野呂川が大きくこの山を巻いているが、それに流れ込む多くの沢、その沢のどの一筋を遡るのも容易でないことを思えばそのみごとな大きい
 根の張りかたが察しられよう。

                                                    深田久弥『日本百名山』より抜粋


関越道、圏央道を経て中央道甲府昭和ICから険しい夜叉神峠を越える。
広河原に到着した頃は夜も明けていた。

三連休の二日目のため、駐車場も路肩も満杯になっていた。
あちゃ、どうしよ。
野呂川右岸の広い駐車場のド真ん中に、図々しくも遠慮がちに停めさせてもらいます。

北沢峠行きのバス停では、登山者が長蛇の列をつくっていた。
甲斐駒、仙丈も賑やかになることだろう。

吊り橋を渡り広河原山荘で、登山届を出して気合を入れて登り始めます。
広河原1,520m 北岳3,192m 標高差1,670超。 

上空には突き抜けるような碧空が広がっている。

 大樺沢を詰めるにつれ鳳凰三山が姿を見せる

ガレ場の高巻きで、訳あってはらっぱふくらはぎを痛めてしまう。
次の渡渉点で湿布薬とテーピングでチチンプイプイごまかします。

八本歯コースとの分岐点、二股まではずっと大樺沢の瀬音がBGMとなり、耳に心地よく響いてきます。 

北岳の覆い被さるような急峻なバットレスが全貌を現すようになると、その迫力と標高差に思わずため息がもれる。
登れるのかなぁ。
急に弱気なおじさんになります。

 大樺沢二股から北岳を見上げる

八本歯と右股の分岐は格好の休憩場所、大勢休んでいる。
これからの急登に備えているんでしょ。

八本歯から北岳を越えて小屋に入る計画だったが、双眼鏡を覗き作戦会議の結果、あっさりと右股を選択するヘナチョコ隊だった。
今朝は早出で寝不足だしね。

しかし右股から草スベリの急登も想像以上にきつく、へろへろになった身体にはナナカマドの赤い実越しに聳える頂稜がはるか遠いものに見えた。

 草スベリの急登

よたよたと潅木帯を抜けて、ハイマツの小太郎尾根に登りつめると、目が醒める様な展望が待っています。
開放感と湧き上がる感動に咽び泣きながら、気分良くうどんの支度に取り掛かるげんきんなおいちゃんでした。 

富士山、鳳凰三山、八ヶ岳、頚城、北ア、御岳、木曾山系、甲斐駒、南アの女王仙丈そしてデッカイ北岳がいい。

無風快晴。

 小太郎尾根に辿りつけばもう少し

なつかしい山々が青空の下に累々と広がっている。
少しガスった景色の方がいいなどと、贅沢を言うほど雲ひとつない青空だ。

真っ赤に染まったウラシマツツジと草紅葉、アルペン的雰囲気の中を余裕の小屋入りです。

しばし仮眠の後、寒さに震えながら小屋前で日没の瞬間を待つ。

 肩の小屋

         ▲ ハイマツの上に甲斐駒が

二階はギュウギュウ詰めの混雑。
小さな窓には何故か鉄格子が嵌っている。
何かあったら、やばそ〜。

宿泊人数が確定した頃、一階のゆったりしたスペースに移動させてもらって、ゆっくり眠ろうとするも、女の子の腹痛騒ぎで一晩中ウトウトする。

この中にTUWV後輩の秋田君とその家族がいた事を、その時は知る由もなかった。
同じ時間と空間を共有した後輩がいたことが、何気に嬉しかった。

 南アの女王 仙丈岳


鳳凰三山から昇るご来光を待つ間の富士山のシルエットが美しい。
標高2位の山から標高1位の山を望む超贅沢な光景です。

今日も快晴だ。

昨朝は氷点下3度だったそうだが、今朝は比較的冷え込みも緩やか。

小屋の朝食はパス、広場のベンチでお湯を沸かして、大いなる自然の中で自前の玉子スープが格別美味しい。

 夜明け直前の富士シルエット

さていよいよ日本第二の高峰北岳に登る。
いきなりの急登で、小屋は見る見る小さくなっていきます。

北岳は岩塊折り重なるどっしりした佇まいで、山頂にはたくさんの人が憩う。

TUWV3年の時以来、実に34年ぶりの登頂になった。
34年くらいじゃ山は変わらないが、人間は歳を重ねたよ。

 あっという間に小屋が小さくなった

周囲の山は全部見下ろす位置にあり、飽くことのない展望に酔う。
南に間ノ岳、塩見岳そして我が榛名富士まで見えたのには感激だった。

二日連続で信じられないほどのピーカンに恵まれ、気が狂いそうな幸せにどっぷり浸る二人であった。

南アルプスは北アと比べて、ひとつひとつの山のスケールが大きい。

この景色をこの空気をいつまでも堪能していたかったが、そういう訳にもいくまい。
今日は家まで帰らなくっちゃ。

 中白峰、間ノ岳、農鳥 お目覚め
                          北岳山頂から仙丈、甲斐駒 遥かに八ヶ岳 
 肩の小屋とテン場  北岳山頂に立つ  小太郎尾根上部を下る

肩の小屋からは甲斐駒、仙丈、鳳凰三山などを楽しみながら、得意のだらだら歩きで稜線を下る。 

草スベリは特急で転がるように滑り降りた。

大樺沢二股の大岩の上で一段落。
靴を脱ぎ、岩肌に触れる火照った足裏が気持ちいいですよ。 

バットレスを振り返りながら、そして山行の余韻に浸りながら、又々うどんを煮るまめな人。

 さらば北岳

若者ペアーが河原の大岩の壁でフリークライミングのトレーニングをしていたのをボケ〜と眺める。
二人とも我々を意識して張り切って見せるが、たまに落ちる。

第二ガレ場の下部渡渉点で再びコーヒーとグレープフルーツ。
早めの下山祝いをする。
なんだかんだで食べてばっかし。

枝沢から登山道に勢いよく水が流れ込んでいるので、岩伝いにピョンピョン跳んで下る。

 地蔵、観音、薬師の鳳凰三山

沢の冷水を口いっぱいに含むと歯がしみた。
顔を洗ってさっぱりする。

最後の吊橋から僅かにのぞく北岳に別れを告げて、広河原ロッジの風呂でいい汗を流しましょう。
ここで広島のばあちゃんにTEL。

駐車場に着くと周りの車は殆どなく、真ん中にポツンと一台だけとり残されていて奇妙な感じだった。

高速は混みそうなので、マミナビで甲府市内をくねくね抜けて、雁坂トンネル経由(\710)一般道で帰宅した。

 甲斐駒を正面に草紅葉を下る