2009.07.31~08.01 (金土)  K2Couple No.0238 

仙丈ヶ岳
せんじょうがたけ(長野県・山梨県)
3,033m クリックで拡大
晴れた~、富士山見えた~

コース最大標高差 : 1,075
コース累積標高差(+) : 1,375
コース累積標高差(-) : 1,195
コース距離 : 10.8 km
行動時間 : 12'00"

* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません

 仙丈ヶ岳( 小仙丈カール )

  3:40 = 藤岡IC/上信越道・長野道・中央道/伊那IC = 7:10 戸台清流荘BT 8:05 《南ア林道バス》 9:00 大平山荘

 大平山荘 9:10 ... 9:55 大滝展望台 ... 10:30 藪沢 【L1】 10:45 ... 12:10 馬ノ背ヒュッテ 12:30 ...

 12:50 馬ノ背(丹渓新道分岐)【L2】 13:15 ... 14:15 仙丈小屋 【泊】

 仙丈小屋 5:35 ... 6:10 仙丈ヶ岳 6:25 ... 8:00 小仙丈ヶ岳 【L1】 8:40 ... 9:20 大滝頭(五合目)... 10:25 北沢峠テン場分岐 ...

 10:50 北沢峠 11:00 ... 11:10 北沢駒仙小屋 【L2】 11:50 ... 12:30 仙水小屋 【泊】


 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)


仙丈ヶ岳の場所

仙丈小屋 (¥8,000)



 私の好みで、日本アルプスで好きな山は北では鹿島槍、南では仙丈である。
 何よりその姿がよい。
 単純なピラミッドでもなければ鈍重な容量でもない。
 その姿に軽薄や遅鈍のないところが好きなのである。
 スッキリとして品がある。
 ちょっと見ては気付かないが、しばしば眺めているうちに、次第にそのよさがわかってくるといった山である。
 南アルプスの山はたいてい連嶺の形を取っているが、その中で仙丈岳は独特のおもむきをそなえている。
 もちろん山脈に連なっているのだが、燐峰との間に著しい降下がある。
 遠くから眺めて、ゆったりとしたスカイラインを引いているのが、いかにもおおらかで重厚である。
 しかも、その膨大な山容が少しも鈍重に見えないのは、みごとなアクセントがついているからだろう。
 アクセントとはその山頂部にある三つのカールである。
 その顕著な刻みが山容を引緊めている。
 三つのカールは、藪沢、小仙丈沢、大仙丈沢、それぞれの源頭に大きく口を開いている。
 甲斐駒から望むと、藪沢と小仙丈沢のカールが、北岳からは小仙丈沢と大仙丈沢のカールが、はっきり見える。
 この三つの窪みには一番おそくまで雪が残るので、特に鮮明な印象を与えられる。

                                     深田久弥『日本百名山』より抜粋



 関東地方の梅雨明け宣言は早かったものの、天候は不安定で気がもめます。
 夏山第一弾の鳥海山はお流れ、第二弾はどうしても決行するとおいちゃんが気合を入れています。
 足の遅い私がいるので、仙丈・甲斐駒2日の予定を余裕の3日がかりです。
 天気が不安な私を尻目に、登山口まで行って最終判断 ・・・ ということでとりあえず出発しました。

佐久・岡谷間の一般道は面倒いので、遠廻りですが更埴経由伊那ICへ。
梓川SAで朝食のうどんを食べる。

早朝の高遠を抜け、戸台の清流荘に余裕の7時着。
初日は仙丈に登るだけなので、朝二のバス(8時発)にします。
バス停の人の話によると、6時の始発便は土砂降りの中をバス三台が北沢峠へ向かったそうです
皆さんの気合に勇気を得て、しかも薄日が射しているので決行

戸台清流荘前のバスターミナル

旧長谷村(現伊那市)が運行する南アルプス林道バスは、山の中腹を縫って北沢峠まで小一時間の行程。

サービス満点の運転手さんが、シナノナデシコやタカネビランジが咲いてる場所でガイドしてくださいます。
鋸岳や藪沢大滝の見える場所では、わざわざバスを停めて説明する念の入れようです。
カモシカがいたと言うと、バックさせてくれる親切さ。

バスの窓から鋸岳

運転手さんに頼んで大平 おおだいら 山荘前で降ろしてもらいました。
乗客は全部で8人でしたけど、藪沢新道を歩くのは私達だけです。

大平山荘の受付には熊注意の大きな看板があり、隣でちゃんと熊鈴を売っています。
おいちゃんは熊鈴を持って来なかったので、記念にひとつ買いました。
高いのね

静かな大平山荘

まずは歩き易い水平道ですが、すぐに長い急登が始まります
右下からは絶えず沢音がしています。

いかにも南アルプスという雰囲気の原生林ですよ。

 藪沢沿いに急登する

やばいもう雨が降ってきたと思ったら滝の音です。
藪沢大滝展望台の入口ですが、道は荒廃し危なそうなので行きません。
すぐに「そっと覗いて見て」の案内がありますが、ここは樹林に遮られて良く見えません。

シコシコ高度を上げると深い渓谷のようだった藪沢が徐々に浅くなり、振り返れば甲斐駒ヶ岳のてっぺん?がガスから頭を出しています。

渡渉点の直前で道が崩壊しているらしく、高捲きを強いられます。

 藪沢を左岸に渡る丸太橋から甲斐駒方面
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丸太の橋を渡った左岸で休憩です。
正面には滝があります。
瀬音っていいね。
腹減った。

色んな滝が出てきて楽しい。
水しぶきが涼を呼ぶ。

 小さな滝を見ながら

左岸に渡ってからは開けて明るくなり、咲き誇る花に眼を奪われます。
お花の多い斜面。

気持ちの良い登りです。

 ガスが上から下りてきます

なんて浮かれていたら、突然の雨
カッパを着たりザックカバーを出してる間に、大分濡れてしまいました。

千葉の成田から来たという男子高校生集団が下りて来ます。

 ヨツバシオガマの咲く道を行く
タカネビランジ キバナノコマノツメ シナノキンバイ クルマユリ
ミヤマキンポウゲ ヤマハハコ タカネグンナイフウロ ハクサンイチゲ
マルバタケブキ トモエシオガマ ミヤマダイモンジソウ ハイマツ
イチヤクソウ ハクサンチドリ ウサギギク ミヤマバイケイソウ ムカゴトラノオ

藪沢小屋経由で大滝ノ頭に至る分岐を少し登ると、網の囲いが ・・・
増え過ぎた日本鹿の食害からお花畑を守るためのようです。
がっかりさせられる景観ですね。

環境の変化が、ここにも異変をもたらしている。
鹿ばかりでなく人間も増えた。

 高山植物を保護するネット

マルバタケブキやヨツバヒヨドリなど鹿が食べない花が多く咲いていて、この山にあった本来の花が減りつつあるそうです。
毒草のトリカブトも葉っぱだけを食べるそうですよ。

馬ノ背ヒュッテで雨宿りさせて頂きながら休憩です。
中はひっそりしていました。

 馬ノ背ヒュッテ

雨が止んだので馬ノ背まで登り、丹渓新道の分岐でまたお昼です。
この辺りも鹿避けの柵だらけ。
柵の中は黄色いミヤマキンポウゲが殆んどです。
馬ノ背のお花畑も瀕死状態。

今朝6時のバスで仙丈ピストンという年配夫婦が下ってきた。
ご主人の交通事故、病気のこと、ヒマラヤトレッキングのことなど ・・・
この一方的に饒舌な奥様は群馬県の太田の人でした。

 のんびりランチの分岐

そして、藪沢カールを見上げながら気持ちの良い登りです。
シャクナゲの木が沢山あります。
風当たりも強くなる。

まるで息をするようにガスが流れ込んできます。
ガスの切れ間に仙丈小屋が小さく見えました。

 山懐に咲くシャクナゲ
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 仙丈小屋が一瞬見えます

            なだらかな山容です

一面真っ白に咲くナナカマドの中を登って行けば、藪沢カールの底に仙丈小屋がある。
登ったきり下らなくてもいいというこの気楽さ。

 お花畑を登る

キバナシャクナゲやクロユリ、ツメクサ等がいっぱい咲いています。
だらだらと花を撮りながら登りましょう。

ところがそうは問屋が卸さない ・・・

もうすぐ小屋だというのに、ここまで来て突然の雷雨です
そういや遠くでゴロゴロ始まっていたよ。
もう、止めてくださいよ~。

 何を撮っているんでしょう
キバナシャクナゲ アオノツガザクラ コケモモ クロユリ

大粒の雨に負けじと、急遽カッパの速着競争。
また、雨に負けました。
で、またビショビショ ・・・

自然の営みの中で人間は小さすぎます。

 雨は降ってもお花は咲いている

雨が降ってはいますが、小屋の窓から山頂が見える。
朝早かったので、速攻昼寝タイムですよん。

夕食はハンバーグライス。
ようやく雨が止んだと思ったら、今度は強い風が吹き始めます。
みんなの心配は同じです。
明日の稜線歩きは大丈夫だろうか ・・・

トイレは水洗で綺麗でしたが、建物の外を一廻りするのが億劫です。
小屋入口の寒暖計は6℃

 藪沢カールのお花畑


仙丈ヶ岳の日の出は4:44。

霧雨のため、ご来光を拝みに行く人は誰もいません。
5時からの朝食を済ませて、念のため雨具を着て山頂へ向かいます。

 霧雨の中を仙丈小屋出発

何やら明るくなる雰囲気です

登山道に沢山花が咲いているので気持ちよく登れる。
天気も良くなりそうだし。
それに、今日は下るだけのルンルン。

花を撮りながらゆっくり行こっ。
そうしよ そうしよ (^^

 カールから尾根をめざして
チングルマ ミヤマダイコンソウ イワベンケイ(雌花) イワベンケイ(雄花)
イワツメクサ タカネツメクサ ミヤマシオガマ オヤマノエンドウ
コイワカガミ ゴゼンタチバナ ミヤママンネングサ クロマメノキ

いつの間にかガスが出て、風に吹かれていました
何にも見えません。

 山頂をめざすはらっぱ

山頂でガスに巻かれます。
おっ 晴れた。
ありゃ ガスった ・・・ の繰り返し。

しばらく待ちたいところですが、風がつおいです。
寒くなりそうなので、風除けできる斜面まで下りましょう。
展望は山頂じゃなくても同じだよ、きっと。

 仙丈ヶ岳登頂
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北岳の左に富士山 が見えたり隠れたりして、やきもきやきもき。
その北岳や間ノ岳も見えたり隠れたりしている。

ガスの流れが速いですよ。

 北岳、間ノ岳の左に富士山です

嘘のようにガスが消えれば、藪沢カールの底に仙丈小屋が見える。
人の声がここまではっきり届きます。

 藪沢カールの仙丈小屋

小仙丈尾根はチンタラ隊に最適な稜線でした。
ちょっと歩いては振り返り、花を見つけてはしゃがみ込む訳でして。
ガスが晴れればザックを放り出し ・・・

そんな人間を見つけた神様が微笑みました。
ガスの吹き付けが、ピッタシ嘘のように止んだんです。
すっきりした青空のプレゼントです。

小仙丈ヶ岳では展望の見収めで、ゆっくりまったり休憩です。
ここで暇つぶさないとどうしようもないほど余裕の日程。

 小仙丈尾根から仙丈ヶ岳

                              仙丈を下ってまた展望休憩です 左には北岳と間ノ岳

                                   ▲ 長大な馬ノ背とガスの湧く鋸岳

                                   ▲ ピース
 山に憧れ山に行き ・・・                飛行機雲
女王と言えどもゴツゴツ             小仙丈から仙丈ヶ岳


 ここから下はハイマツ帯、登ってくる人とすれ違うようになります。
 大滝ノ頭(五合目)の少し上まで下った所で、待望の甲斐駒がベールを脱ぎました。
 ひゃ~カッコいい~。
 明日行くから、雲払って待っててね~


                                ▲ 甲斐駒ヶ岳の雄姿

北沢峠のテン場には、カラフルなテントが見えます。

藪沢新道を登るより小仙丈尾根を登る方がきつそうに思えたけど、人によって評価が異なるとこなんですね。
小仙丈の下りは足場も悪く大変です。

 小仙丈尾根の下り

五合目から下は展望もなく花もなく、すこぶる単調。
北沢テン場への近道を見送って、オーソドックスに北沢峠着。
この時間帯では、北沢峠も閑散としていて、バス停にも誰もいません。

バス停の様子を確認して、仙水小屋へ向かいます。

 北沢峠、長衛荘

北沢峠のテン場は、ここ北沢の河原に指定されている。
仙丈、甲斐駒ピストンの絶好の登山基地です。
バスでテント持ってくれば、安く泊まれるからね。

北沢峠で美味しいもの食べようと話していたのに、二人とも忘れて北沢に入ってしまった。
思い出して戻ります。

 北沢河原のテン場

駒仙小屋で食事できるかどうか訊いたら、やってないとのこと。
長衛荘まで戻るのも何やし、結局自前のランチにします。
駒仙小屋の前のテーブルを借りて、お湯沸かしてとラーメンいつもの。

このテーブルから駒ヶ岳の山頂が見えました。
ガスが切れていい天気になっています。

 北沢駒仙小屋

一応満腹と言うことにして、今度はホントに仙水小屋に向かいます。
小屋までは堰堤を幾つも越えて、北沢沿いの陰気臭い道を登って行く。

 沢の中を歩いたり
 小さな崖を登ったり            またまた沢を渡ります
ヤマオダマキ コガネギク ツリバナ イワオトギリ

早い到着のお客様にスタッフは驚いています。
お客様は受付前にシャツや傘、レインスーツその他濡れ物をテーブルに並べて干しました。

部屋に案内された直後、案の定土砂降りの雨です。
キャンセルしたのか同室になるはずの6人は姿を見せず、京都からの単独男性と10畳間に3人きりです。
下の部屋には19人の団体の男性陣が夜遅くまで賑やかでした。

食事はこの小屋のセールスポイントお刺身や煮物、豚汁などで美味。
7時半消灯。
雨は一晩中激しく降る。

 テーブルで衣類を広げるはらっぱ


 
仙丈で写真を撮った以外に見た花

       コバノコゴメグサ、ハクサンフウロ、ヤグルマソウ、ズダヤクシュ、ツマトリソウ、マイズルソウ、ミヤマアカバナ、ミソガワソウ、ヤマホタルブクロ、ヨツバヒヨドリ
       ヤマアジサイ、シナノナデシコ、ミヤマカラマツ、ウスユキソウ、ミヤマアケボノソウ、クロクモソウ、クルマムグラ、ギンリョウソウ、キオン、ミネズオウ、キソチドリ
       タカネヨモギ、カニコウモリ、ウラジロナナカマド