2008.09.05 (金)   K2Couple No.0204 

月山
がっさん(山形県)
1,984m
夏の花、秋の花 ・・・ たおやかな峰

コース最大標高差 : 830
コース累積標高差(+) : 895
コース累積標高差(−) : 620
コース距離 : 8.8 km
行動時間 : 7'30"

* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません

 牛首の分岐点

  19:00 = 前橋南IC/北関東道/太田桐生IC = R50 = 佐野IC/東北道・山形道 23:30 寒河江SA(車中泊)5:15 山形道/月山IC =

 6:00 姥沢小屋

 姥沢小屋P 6:30 ... 8:10 リフト道分岐 【BF】 8:30 ... 8:55 牛首 9:10 ... 9:55 鍛冶小屋跡 ... 10:10 山頂広場 10:20 ...

 10:35 月山 【L】 11:10 ... 12:10 牛首 ... 12:25 柴灯森 ... 13:15 姥ヶ岳 13:30 ... 14:00 14:20 《リフト》 14:35 下 ...

 14:45 姥沢小屋P

 姥沢小屋P14:50 = 月山IC/山形道・東北中央道/山形上山IC = 16:30 かみのやま温泉あづま屋 【泊】


  月山の場所
 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

かみのやま温泉 あづま屋 (¥10,000)


 雲の峰いくつ崩れて月の山   芭蕉
 鶴岡の駅でおりた時、ほんとうに月山の上に雲の峰が立っていた。
 八月の半ば過ぎ、山は濃い群青で、牛の背のようにゆったりと伸びていた。
 どんな山でも頂上のあたりはいくらか鋭く立っているものだが、月山にはそれがない。
 撫でたような緩やかな線であった。
 (中略)
 出羽三山とは羽黒山、月山、湯殿山のことだが、羽黒と湯殿は山としては論じるに足らない。
 ひとり月山だけが優しく高く立っている。
 優しく.......それが月山である。
 北の鳥海の鋭い金字塔と対照するように、それは優しい。
 (中略)
 月山の名の起こりは半輪の月の形からではなく、その山を仰ぐ平野の人々が彼等のもっとも尊崇している農業の神、月読尊を祀ったからで
 ある。
 庄内平野から眺めて、月山がゆるやかに伸びた山容あった通り、頂上は実に広々とした高原であった。
 小高い所に聖域月山神社があり、そこから南へ向かって緩い大きな傾斜が気持ちよく伸び、岩と高山植物に敷きつめられている。
 頂上にはエーデルワイスが咲いていた。
 月山は日本に珍しいアスピーテ火山だというが、あちこちに大きな斜面が傾いている。
 そしてその広い谷には盛夏なお多量の残雪があった。
 近年、月山が多くのスキーヤーを呼んでいるのも、この斜面と雪に恵まれているからである。


                                                 
深田久弥『日本百名山』より抜粋



 
年に一度のTUWVOB山行、今年は青根温泉に泊まって蔵王熊野岳に決まった。
 せっかく宮城まで行くのだから、チョッと足を伸ばして月山まで遠征することにします。
 ところが土曜日の天気が微妙になってきたので、マークの金曜日に月山、翌土曜に南蔵王屏風岳ということに変更。
 4日、おいちゃんが帰宅してから車に荷物を積込む ・・・ と言うか詰込んで出発です。


北関東道を前橋南ICから太田桐生ICまで走る。
東北道を北上し、夜中11時半に山形自動車道の寒河江SAに到着。
トラック3台、乗用車1台しかいないSAは、寂しいくらい静かで寝るには最適な環境です。
空には星が瞬いていた

東の雲間が赤く染まる夜明け前にSAを出発。
期待を胸に月山ICへ。
秋雲が清々しい。

 山形道寒河江SAの朝

姥沢小屋下の駐車場には既に3台の車が停まっており、宮城ナンバーのカップルさんと朝の挨拶を交わします。
彼らは一足先に出発して行った。

私達も少し遅れて橋を渡り、姥沢小屋の裏から登山道に入る。
良く整備されている道です。

 姥沢小屋下の駐車場

熊注意の看板を眼にして、登山者も少ないし熊鈴を付けます。
すぐにリンドウやアキノキリンソウなどが咲いている。
赤い実の付いたナナカマドやオオカメノキを眺めながら、そして三人でお喋りしながらトラバース気味に登って行く。

振り返えればウァー!
朝日連峰が雲海の上にクッキリと浮かんでいます。
その左遠くにうっすらと吾妻の山だろうか ・・・
更にその左には蔵王の山並みも見えます

 朝日連峰
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ツルニンジン、オニシオガマを愛で、ブルーベリーを賞味しながら登る。
森林限界を超え、月山山頂の岩場が見えてきた。

更に進むと牛首や柴灯森(さいとうもり)のトンガリが見える。
カール状に広がった草原に小さな雪渓も残っていた。
今年は雨が多く雪解けが早いらしい。
雪渓から流れる水場で顔を洗ってさっぱりします。

おおらかな山容に抱かれ、素敵な眺めの前に全員感動しまくり大会です。
青い空に秋の雲が流れている。

 姥ヶ岳を振り返りつつ ・・・
クリックで拡大クリックで拡大クリックで拡大
         シロバナトウウチソウと姥ヶ岳                 ウサギギクと姥ヶ岳                 木道をゆるゆる登って来ました
                  ▲ 山懐に抱かれて ・・・ リフトから来る道の合流点手前のREIREI

爽やかな陽射しにうっすらと汗をかいて、リフト上駅からの道と合流。
また休憩です。

廻りにはミヤマリンドウが沢山咲いている。
駐車場で別れたカップルが、はるか上を歩いているのが見えます。

分岐から登り始めてしばらくすると、朝一(始発8時)のリフトからの単独男性が追いついて足早に追い越していった。

 リフトからの道との合流点

雪渓に近づくと、ニッコウキスゲがまだ咲いています。
ヨツバシオガマやウサギギクも咲いている。
そして驚いたことには、チングルマの花がまだまだ元気に咲いています。

普通なら高山植物も一段落し紅葉には早い時期なので、山の展望だけを期待していたのに。
嬉しくて、おいちゃんも私もルンルン気分です。
REIREIはそんな私達を見て呆れ顔。

 ニッコウキスゲ咲く雪解け斜面
        ▲ ニッコウキスゲ               チングルマ                ハクサンフウロ                ハクサンイチゲ

山の花は雪解け順に咲くのでしょうね。
月山は秋まで雪が残っているお陰で、夏・秋の花が同時に見られる嬉しい山でした。

 ミヤマリンドウ
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REIREIは昨夜の車中泊で一睡も出来なかったらしく、ここまで眠気と戦いながらやっと歩いてきたようだ。
牛首で休憩する間も寝転がっていたし。

 だいぶ登ってきたよ

2時間半かけて牛首に到着。
登山口には姥沢コース2時間半って書いてあったような ・・・
それって山頂まででしょね。
我が隊の場合、山を見て花を見て1時間くらいはロスしてるもんね (^^;

牛首で休憩していると、湯殿山側から長いピッケルのような杖をついたおじさんがやって来た。
見ると腕には腕章をつけている。
登山道の整備やトイレの清掃等で月に4・5回登っているそうです。

 牛首までもうすぐだよ

このおじさんによると、月山は1400年前までは仏教の山だったのだそうだ。
そして羽黒山神社の修行の場となるようになって、石碑に刻まれた凡字等は削ってしまったのだと言う。

どうして共存できなかったのだろう、ちょっと悲しい話を聞いてしまった。
このおじさんは登山道の石に赤いペンキマークを吹き付けながら猛スピードで登って行かれました。
老いてもパワフル凄い
私達も後を追いかけます。

 最後の急登に取り付く

月山-姥ヶ岳稜線の北側が見える。
庄内平野だろうか。
その向こうは海

牛首から鍛冶小屋までは、結構急な石組の道になっている。
REIREIは眠い眠いと言いながら、私達を置いてどんどん先へいきます。
まだまだ若いネ。

やっと追いついてみれば、岩の上で横になって休んでいる。
まるで私達親子は兎と亀のようです。

 REIREIウサギ
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可愛いお顔の延命地蔵尊に対面して手を合わせます。
鍛冶小屋跡から上は小石のザレた広い斜面だ。

 延命地蔵尊

やっとの思いで登りきると、山頂は台地状に広がっている。
方位盤があったが、この頃になるとガスが上がってきて展望が利かない。

北は全くのガスガスで、鳥海山は見えずじまいです。
気を取り直して山頂三角点を探しに行こう。  

 山頂台地の奥に月山神社本宮

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山頂神社脇にはクジャクチョウが数匹飛びかっています。

道沿いにはハクサンフウロやハクサンイチゲが咲いている。
三角点を探しに神社の裏手に廻りますが、大きな岩が重なっていて何処にあるのか見つかりません。

岩の上にはここの主のような顔をした烏が、じいっと動かずにいます。

 羽黒山方面

おいちゃんが岩を乗り越えて、三角点に到達します。

この辺りでお昼にしましょうか。
北側は雲がもくもく湧いてくるばかりで、晴れそうな気配はない。
東斜面に広がる月見ヶ原は、明るく開放的なお花畑です。

 月山三角点みっけ

山頂から下るときに、羽黒山方面8合目登山口から白装束の集団が登って来ました。

月山、羽黒山、湯殿山を出羽三山と言い、修験の山として知られる。
白装束に身を包んだ講中(参拝者)に出会うことは稀ではないようです。

 白装束の修験者が登ってきます

月山神社本宮の入口で記念撮影だけして、お参りはしませんでした。

 月山神社本宮の入口
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頂上台地から下山を開始します。
まだお昼前なので、登山者がちらほら登って来る。

 下ります

牛首の分岐を直進し、尾根道を進んで姥ヶ岳を周回して帰る。
石が綺麗に敷き詰められていて歩き易い。

ガスにまかれて静かな道です。
僅かなアップダウン。

柴灯森はピークを捲いて、南斜面を緩やかに歩く。
コルで湯殿山神社への道を分けて、姥ヶ岳をめざします。

 石畳の登山道

秋の花リンドウが集団で咲き乱れ、登山者を慰めてくれる。
姥ヶ岳の斜面には、ニッコウキスゲが群落をなして咲いています。

姥ヶ岳山頂標識でセルフ写真を撮る。
頂上の散策木道を辿って、霧の山上をあてもなく彷徨います。

そして、残すはリフト上駅までのチンタラ下りだけ。

 姥ヶ岳山頂でセルフ撮り

キンコウカで埋め尽くされた湿原があったが、終わりかけで色あせている。
盛りの時は見事であっただろうと想像しながら通り過ぎます。

しかし、さすがに月山。
何処を歩いていても、花のないところはありません。
群馬県にも、月山がひとつ欲しいよね (^^

 キンコウカの群落を行く
 見えましたリフト上駅         ▲ 泣いても笑っても最後の下り


 
最後の最後に、月山にかかっていたガスが切れ始めますよん (^^  よく歩いた御褒美かも。
 それは素晴らしい眺めのスライドショーを見ているような感動シーンでした。
 月山は別名を臥牛山とも言われ、牛が横たわったような山容が見て取れる。

 それも僅かな時間の夢のような出来事、またガスがゆっくりと山を隠していきました。

                              ▲ ゆっくりと姿を見せる月山 (姥ヶ岳下山路から)
ミヤマカラマツ ヒナウスユキソウ ヨツバシオガマ ウゴアザミ ウサギギク
イワオトギリ ツルニンジン ムシカリ アキノキリンソウ ゴマナ
シロニガナ キンコウカ ノリウツギ チョウジギク シロバナトウウチソウ
ハクサンイチゲ ホソバイワベンケイ ヤマハハコ イワオトギリ ウルシ
キオン アカモノの実 ヤマアジサイ コガネギク エゾオヤマリンドウ
ミヤマキンバイ ナンブタカネアザミ ミヤマキンポウゲ マイヅルソウ ウメバチソウ
オタカラコウ イワショウブ イワショウブ オニシオガマ イワイチョウ

今日の紫外線は強く、顔も腕もヒリヒリ焼けました。
リフト乗り場に着いて、氷入りイチゴアイスを食べて生き返る三人です。

リフト券(\580)を買って下山しましょう。
長いリフトの下にも沢山のリンドウが咲いていて、おしゃべりしながら眺めていると15分が短く感じられます。

そして、下駅から姥沢小屋までは遊び歩きです。

 リフト15分

下山すれば次は温泉だ。
携帯の繋がる所まで移動して、上山温泉の宿泊案内にTEL。
交渉の末、1泊夕食付きで10,000円の「あづま屋」さんをゲットします。

昨夜お世話になった寒河江SAに寄って、明日の朝食用におむすびとパンを買ってホテルに直行(明朝5時出発の意気込みです)。

 山形道からの月山

思ったよりも立派なホテルだった。
若い女性が駐車場まで迎えに来て、荷物を運んでくれる。
重くて汚いザックを。

女湯の露天風呂ではお酒の飲み放題 ・・・ と言っても私は二口だけ。
REIREIは枡一杯飲んじゃった。
風呂上りには冷たいジュースが飲み放題。
おいちゃんとREIREIはロビーに下りて、赤白ワインの飲み放題に御満悦。

夕食は食べきれないので、残った炊き込みご飯は にしてもらった。
う〜ん極楽、極楽。

 あづま屋のロビーでカンパ〜イ