2006.07.29 (土)   K2Couple No.0156 

早池峰山
はやちねさん(岩手県)
1,917m
宮沢賢治の愛した山、雨のウスユキソウ

コース最大標高差 : 672
コース累積標高差(+) : 670
コース累積標高差(−) : 670
コース距離 : 5.3 km
行動時間 : 5'20"
* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません
 雨ニモマケズ風ニモマケズ ... ハヤチネウスユキソウ

 岳集落和泉坊 4:40 = 5:00 河原ノ坊P 5:45 《BUS》 5:55 小田越登山口

 小田越登山口 6:00 ... 7:40 五合目御金蔵 ... 8:00 竜ガ馬場 ... 8:30 クサリ場 ... 8:45 剣ガ峰分岐(稜線)... 8:50 九合目お田植場 ...

 9:10 早池峰山 【L】 9:50 ... 10:20 五合目御金蔵 ... 11:20 小田越登山口

 小田越登山口 11:40 《BUS》 11:50 河原ノ坊P13:00 = 14:05 花巻温泉 15:00= 15:30 宮沢賢治記念館、山猫軒 【DNR】 17:15 =

 花巻南IC/東北道 23:00 佐野藤岡SA そば 23:55 /佐野藤岡IC = 25:30


     早池峰山の場所
 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

花巻温泉 ホテル紅葉館 (¥800)


 早池峰は東北では鳥海、岩手、月山につぐ高峰でありながら、案外世に知られないのは、僻遠の地にあるためだろう。
 早池峰という響きのいい名前で、この山は早くから私の胸にありながら、その姿を撮った写真を見たことがなかった。
 盛岡の平野から遥かに見えないわけではないが、それは撮影にはあまりに遠すぎる。
 また山の近くまで来るとその全容を美しく捕らえることが出来ない。
 谷文晁の「日本名山図会」には太平洋側から見た早池峰が描かれている。
 多分宮古あたりの港とおぼしき風景を前にして、まるで拳をあげたような突兀とした山に描かれている。
 宮古湾から早池峰までは相当の距離がある。
 絵に誇張のあるのは承知していても、こんなにあざやかに大きく見えるであろうか。
 私が一番ハッキリと早池峰の全容を眺めたのは姫神山の頂上からであった。
 それは北上高地の山波の上に一きわ高く立っていた。
 尖鋭な独立峰の形でなく、長い頂稜を持つ重厚な山の姿で立っていた。
                                     深田久弥『日本百名山』より抜粋


岳集落から奥は土日マイカー規制がかかっており、普通はシャトルバスでアプローチすることになる。
民宿のおばちゃんから、規制は5時〜13時との情報をキャッチ。
という訳で、4時に起きて、河原ノ坊駐車場まで車で行くことにした。
民宿のお見送りもなく、そっと玄関を出る変なうしろめたさ。

河原ノ坊でも雨の勢いは変わらない。
沢沿いの急登は危険との思いから、小田越コースのピストンに変更します。
車中で朝食をとった。
団体を満載して岳からやって来た始発バスに乗り込み、河原ノ坊から小田越まで¥300です。

 バスを降り立つと、そこは小田越登山口

小田越登山口は広い空き地であるが、駐車場として整備されていない。
岩手交通の整理係が待機していた。

二十数人の団体と共に、深田百名山、花の百名山に挑戦です。
木道から始まる登山道は、オオシラビソの樹林を縫って行く。

傘が引っかかって歩きにくいことこの上なし。
で、傘をたたむ。

 オオシラビソ帯を登る

一合目を過ぎると岩稜地帯となり、展望がパッと広がります。
ガスまみれの展望だけど。

靴で磨かれた蛇紋岩はツルツルと滑りやすく、雨が拍車をかける。
珍しい高山植物が姿を見せ始めると、雨のことなど忘れてしまいます。

上部には露岩が散在し、晴れていれば素晴らしい展望に恵まれるだろう。
雨の中を歩いていても、この山の人気の高さがうなずける。

 一合目から上は展望のよい(?)岩場
 晴れていれば大展望のはず     最初のウスユキソウ

五合目には御金蔵?の標柱。
そこで神奈川の三人組が食事休みをしている。
岩の隙間に板が渡してあり、狭いベンチになっていた。
そして、この人達と何気に最後まで行動を共にすることになるのである。

竜ガ馬場と呼ばれる緩斜面は、花花 ・・・ 花。
いつものことながら、遅々として前に進まなくなった。
雨に打たれて心無しか花も元気がなく、頭を垂れて打ちひしがれているように見える可愛そうな花もある。

 花撮りおばさん、ちっとも前に進みません
 
                                 ▲ 星が落ちて花になった ウスユキソウいろいろ 

平年なら今の時期、梅雨明け十日の土曜日は、大勢の人が押し寄せているはずだった。
恐らく人の多さに閉口していたに違いない。
ところが雨のおかげで、登山者が殆んどいない静かな早池峰です。
会う人の半分がパトロールの人達だった。
災い転じて福となる。

ウスユキソウがたくさん咲いていたが、種類を特定するのは難しい。
早池峰山は超塩基性の蛇紋岩が累積した岩山で、ハヤチネウスユキソウをはじめ固有種が多く花の名山として知られている。
ハヤチネウスユキソウは、ヨーロッパアルプスのエーデルワイスに最も近い品種なんだそうな。

 岩場に咲く可憐なハヤチネウスユキソウ
 蛇紋岩の登りは雨で最悪           二本目の鉄梯子を登る

稜線近くに蛇紋岩の大岩があり、鉄の梯子が連続して登場する。
一本目は梯子を使わず、左に廻り込んでロープで登った。
その上は鉄梯子を登る。

特に登りにくくもなく、不安もなく乗り越えます。

 岩場はほぼ通過しました
キンロバイ チシマフウロ ミネウスユキソウ チングルマ カトウハコベ
キンロバイ チシマフウロ イブキジャコウソウ ホソバツメグサ ミヤマアズマギク

主稜線に出た所で、早池峰山と剣ガ峰へ分岐する。
稜線上は平坦な道が続いています。

雨に打たれても風に吹かれも、気分は最高。
雨ニモマケズ風ニモマケズ ・・・ ちょっと風強すぎだよ。

ヨツバシオガマがきれいだった。

 稜線に辿り着く

風に吹かれて寒ささえ感じる中、お田植場の湿原が待っていた。
お花畑にしゃがんで、花に溶け込もうとするはらっぱ。
おいおい、ちょっと無理っぽいと思うんだけどな〜。

最後の岩場を乗り越えると、赤い屋根の山頂避難小屋に着いた。
まだ新しく、広くてきれいな小屋だった。
二階構造になっており、30人くらいは楽に入れそうだ。

 山頂直下、お田植場はお花畑です
ミヤマオダマキ ナンブトラノオ ミヤマアケボノソウ タカネサギソウ ナンブトウウチソウ ハヤチネウスユキソウ
ハクサンチドリ ヨツバシオガマ ホソバイワベンケイ イワシモツケ サマニヨモギ

小屋に入る前に、山頂へ挨拶に行く。

例の団体が、雨の中でうろうろしていた。
来た道を戻りますよ〜とリーダーらしき人の声。
60歳超と思しき女性も多かったので、なめてかかったが健脚ぞろいだ。
我が隊が、だらけすぎなのか。

当然のことながら、山頂からの展望は得られなかった。
岩手山や昨日登った栗駒山や焼石岳が見られないのは残念だ。
ここは北上高地の最高峰です。

 雨の山頂で記念撮影

早池峰神社の祠は、自然に馴染まない派手な色彩が眼を引く。
そして立ち並ぶ数々の鉾の飾り物。
あまり好きにはなれなかった。
まさしく信仰の山。

小屋に入ってお湯を沸かしていると、神奈川の三人登場。
うどんをズルズル食べている間に、単独が二人入ってくる。

この山は糞尿持帰り運動展開中につき、小屋横のトイレには網があるだけです。
網の中に携帯トイレを広げ、用足し後に持帰るというシステムらしい。
早池峰の自然は、そこまで追い詰められていたのだった。
深田百名山が残した負の遺産だ。

 山頂で

下りはスッテンコロリンにならないように、慎重に下る。
神奈川の三人組、メッチェン二人は快調にグングン高度を下げます。
男性はへっぴり腰でズルズルとカッコ悪い。

遅れて取り残された男性を追い抜き、はらっぱも豪快に下った。

花あり、岩ありの楽しい山だった。

 滑りやすい岩場だったが完璧にクリアー

小田越登山口は、朝と同じように団体と一緒になってしまった。
混雑のシャトルバスを河原ノ坊駐車場で途中下車。

マイカー規制が解除されるまで、河原ノ坊自然保護センターで暇をつぶす。
花の写真を見て勉強です。
係りの人の好意で、早池峰山のビデオを鑑賞する。

外に出ると雨は相変わらず降っていたが、ガスが薄れ山頂が見えた。
そしてマイカー規制解除、楽しかった早池峰を後にするのだった。

早池峰山は火山ではなく、古生層の隆起山脈なので、周辺に温泉はない。

 小田越で帰りのバスを待つ人達
 河原ノ坊の自然保護センター        ガスが薄くなり山頂が見えた瞬間

花巻ICに戻り、更に西進して花巻温泉の紅葉館へ。
花巻温泉は、三つのホテルが建ち並ぶ温泉リゾート。
こんな立派な温泉に入るのは久しぶりです。

露天風呂の六角屋根をぼんやり眺め、六角ボルトを連想してしまう職業病。
立派な風呂に客は殆んどなく、優雅な気分を満喫した。

この時間なら、今日のうちに帰れるじゃん。
高速の夜間割引を使いたいので、花巻観光して ・・・ 。

 花巻温泉紅葉館の露天風呂

東北新幹線新花巻駅近くの宮沢賢治記念館を訪ねます。
それほど文学的でないK2隊にとって、冒険的な選択だった。
風の又三郎特別展開催中。
宮沢賢治って花巻の人? 渋民村は何だっけ?
おいちゃんの頭の中は、完全に啄木とこんがらがっていた。

駐車場内にある注文の多い料理店、山猫軒で夕食にする。
洒落た素敵なお店だった。
おいちゃんはビフテキ、私は牛タンシチューの超豪華版です(^^)。

 宮沢賢治記念館併設の山猫軒

一関辺りでは大雨でワイパーフル回転。
福島では、今年初めての花火を見ながらの走行です。
途中のSAで何回も時間調整休憩。

それでも最後の佐野SAで、小1時間潰さなくてはならなくなった。
暇つぶしに軽食コーナーで山菜ソバを頼むが、いくら待っても出てこない。
だいぶ待たされてるんですけど、まだですかね〜。

係が誤って半券を捨ててしまったらしい。
平謝りの上、代金が返還されて無料のソバをご馳走になった (^^
これって、ラッキー or アンラッキー

そんなトラブルのおかげもあって、0時2分に佐野藤岡ICを通過し、めでたく夜間割引をゲットする。
計算通りに事が運び、満面笑顔のおいちゃんでした。

 山猫軒の壁飾り