2006.07.15 (土)   K2Couple No.0154 

花咲湿原
はなさくしつげん(群馬県)
1,540m
雨の武尊山麓、熊のエリアに踏み込む

コース最大標高差 : 440
コース累積標高差(+) : 885
コース累積標高差(−) : 885
コース距離 : 12.5 km
行動時間 : 6'55"
* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません
 花咲湿原の朽ちた木道

  6:55 = 高崎IC/関越道/沼田IC = 8:30 武尊牧場スキー場P

 武尊牧場スキー場P 8:55 ... 9:35 二合平(ロッジまきば)... 9:55 三合平 10:20 ... 10:45 東俣駐車場 ... 11:20 東屋 【L1】 11:35 ...
 12:25 花咲湿原 12:45 ... 13:05 林道出合 ... 14:05 東俣駐車場 【L2】 14:30 ... 15:00 三合平 ... 15:50 武尊牧場P
 武尊牧場P16:00 = 16:45 小住温泉 17:20 = 沼田IC/関越道・上信越道/藤岡IC = 18:40

     花咲湿原の場所
 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

湯郷 小住温泉 (¥500)


 武尊牧場は武尊山の東面、標高1400mほどの高原に広がる片品村営の牧場。
 シラカバやブナの原生林に囲まれたその広大な牧草地は約100万平方m。
 のんびりと草をはむ乳牛がほほえましい光景を見せる。
 東には皇海山、日光白根山が、南には赤城山が堂々とした姿を見せ、西には間近に武尊の頂稜を望み、その眺望も素晴らしい。
 牧場内には、バンガローや貸しテントなどを備えた村営のキャンプ場があり、ロッジでは宿泊もできる。
 また、夏山リフトも運転される。
 自然も豊かに残されているが、特にレンゲツツジの大群落は有名で、群馬県の天然記念物にも指定されている。
 牧場から武尊山頂への登山コースもある。
 冬には武尊牧場スキー場が開設され、ファミリースキーヤーの人気を集めている。
 武尊田代湿原は、武尊山の北東、標高1550m地点にある周囲約400mの湿原。
 湿原の周りは広大なブナ林で、自然がよく保たれている。
 大小の湿原が連なったヒョウタン型をしているが、大きい方の湿原は中央部がレンズ状に盛り上がり典型的な高層湿原となっている。
 湿原の周りに遊歩道があるが、ヤブが濃く湿原全体を見渡せる場所はヒョウタン型のクビレ部分を渡る橋の上以外は少ない。
 ブナ林の中を流れる沢には、5月下旬からミズバショウが咲き始め、7月に入るとレンゲツツジがピンクの花をいっせいに開く。

                                       上毛新聞社『群馬の山歩き130選』より

上州武尊山の北麓、武尊田代湿原に行ってみることにする。
田代湿原は、県道水上片品線から入るのが最短コース。
藤原地区の土砂崩れも復旧され、通行できるようになっていた。

しかし、敢えて片品側から武尊山麓原生林にもぐって行くことにする。
武尊牧場から分岐する東俣駐車場への道は、土砂崩落のため進入禁止になっていたので、仕方なくスキー場の駐車場に停めます。

リフトの下を直登し、二合平のロッジまきばに着く頃には雨。
こんな時間に、雷様がゴロゴロ騒いでいます。

 スキー場を直登

ここから先はスキー場内の舗装道路だ。
赤城山や皇海山の方角は明るく、すべて見渡せる。
関東平野は、昨日に続き今日も36℃の異常高温になるとのこと。

マイクロバスが盛んに行き来しているのは、客を運んでいるらしい。
先月、サマーリフトが客を乗せたまま落下事故を起こし、それ以降マイクロバスで代替輸送しているんだって。

三合平で俄かに暗くなり、ザーザー降りとなった。
駐車場で名刺を渡された「とね草木へんろ」さんと山談義をしながら、送迎バス用の待合テントで様子を見る。
「とね草木へんろ」さんは歩いて、もう一人はバスで引き返していった。

 雨の舗装道路を行く、うしろは赤城山

   ▲ ヤナギランの道を三合平キャンプ場へ             ヤナギラン



 雷雨が過ぎるのを待って、東俣駐車場をめざして下って行きます。
 武尊高原にはショウブやオダマキ、ベニバナイチヤクソウ、アザミが綺麗に咲いていた。
 東俣駐車場は車が入れないため全くの無人、休憩舎も閉鎖され立ち入りできないようになっていた。
 ここから更に草倉沢に下って、武尊避難小屋から伸びる尾根に登り返すが、このエリアは熊の目撃情報も多く、至るところに
 「熊出没注意」の看板が立っている。
 いかにも熊が出てきそうな、沢沿いのうっそうとした道は落ち着かなかった。

 尾根上に建つ東屋          ▲ 東屋から見渡す上州武尊山

木道は濡れて滑りやすく、登山道は川と化している。
この雨音と沢音では、ザックにつけた熊鈴に熊は気付いてくれないかも。
熊鈴を手に持ち替えて、必死に振りながら進みます。
すみません、ここに二人いるんですけど、聞こえる?

開けた尾根上の東屋で、武尊山を眺めながら腹ごしらえする。
雨は上がって、薄日さえ差していた。
再び森の入り口には「熊出没注意」。
林道を横切って江戸沢本流に下りますが、ここにも「熊注意」、もうやだ〜。

江戸沢の本流と支流二箇所渡渉して、いよいよ湿原も近いぞ。

 江戸沢本流の渡渉

うっそうとしたブナの原生林を黙々と歩いていると、突然空が明るくなった。
入り口には「花咲湿原」の看板、何とも快いひびき。
それほど広くはないが、開放感に包まれる。

花の時期をはずしており、バイケイソウの葉っぱばかりが目立った。
ミズバショウの咲きかす、キンコウカとオタカラコウなど。
お目当てのヒメカイウは、まだこの先、田代湿原まで行かなくてはならない。

婆ちゃんを一人家に残してきたので、時間の余裕がなくなってしまった。
今日はここで引き返そう。

 バイケイソウの花咲湿原、朽ちた木道
ショウキラン ノアザミ ニッコウキスゲ ツクバネソウ
カラマツソウ ヤマオダマキ コウゾリナ
キンコウカ ナワシロイチゴ ナツノタムラソウ ベニバナイチヤクソウ

花に関しては期待はずれの湿原をあとに、来た道を戻ります。
花咲湿原という名前だもの、誰だって期待しますよね〜。

ブナ林の気持ちいい登山道もあれば、雨でぐしゃぐしゃの道もあり。
すでに靴とオーバーズボンの裾はドロドロです。

土曜日だというのに、人には全く会わない登山道。
熊さん、出会いがしらだけは絶対やめて下さいよ。

 ブナの原生林をアップダウン


 林道をクロスするところで作戦会議です。
 頭の中が熊だらけになってしまったので、ちょっと遠回りだけど林道を戻ろう。
 この道は、尾根を捲いて東俣林道に合流するはずだ。

水溜りにはおたまじゃくしの塊が、それはもう真っ黒ですごかった。
谷を挟んで、尾瀬岩鞍スキー場のゲレンデが良く見える。
この林道も崖崩れが起きており、不安定な大岩が今にも落ちそうだった。
崩落箇所は走って通り抜けるが、はらっぱはマイペースです。
「崩れる前に音がするだろう」だって。

フキをゲットしながら、東俣林道の舗装はつらかった。
車の通行がないせいか、クモの巣の顔面攻撃に遭う。

 通行止めのため閑散とした東俣駐車場で

東俣駐車場に着くなり、雷雨の再演が始まります。
何故か二人とも今日に限って傘を持っていなかった。
休憩舎の軒先に逃げ込むが、ちょっと軒の幅が狭すぎですよ。
濡れついでに、開き直ってヤケランチ休憩にする。

小降りになるのを見計らって、三合平に登り返します。
そして花の高原をブラブラ散策して、ゆったり気分を満喫する。

 武尊高原に戻って来ました
 白樺とハナショウブとおばさん               ノハナショウブ 

キャンプ場の仮バス停には、老夫婦と家族連れがバスを待っていた。
生憎の天候だったけれど、武尊高原の清々しさ、美しさに触れた人達。

私達はバスを使わず、少し伸びすぎたワラビを採りながら、登ってきた道を戻るのだった。

 雨上がりのキャンプ場

ヤナギラン越しに見えた山々は、朝よりも幾分ガスっている。
スキー場の車に戻ったら、隣の車の夫婦も戻ったばかりのようだった。
富士見村から遠征してきた犬連れのこの夫婦と話して、山を下りる。

武尊周辺には温泉地が多く、迷ってしまいます。
朝来るときに看板を見て決めていた温泉宿は見つからない。
せっかく下った道を又戻って、小住温泉に入る。
泉質も設備も露天風呂も、満足できるところだったので結果オーライ。

渋川で事故渋滞に巻き込まれ、前橋付近ではひどい雷雨だった。
4時過ぎから、婆ちゃんからの電話が入りっぱなし。
ゆっくり下山後の温泉を楽しむ余裕は、当分なさそう。

 ヤナギランのある風景