2006.04.15 (土)   K2Couple No.0147 

岩櫃山
いわびつやま(群馬県)
795m
カモシカ君と遭遇、大岩壁の上に立つ

コース最大標高差 : 285
コース累積標高差(+) : 320
コース累積標高差(−) : 320
コース距離 : 4.0 km
行動時間 : 3'05"
* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません
 古谷集落から見上げる200mの岩壁
 《 嵩山より 》 11:15 古谷集落P
 古谷集落P11:20 ... 11:55 岩櫃城本丸跡分岐 【L2】 12:25 ... 13:10 岩櫃山 13:30 ... 14:25 古谷集落P
 古谷集落P14:35 = 14:45 岩櫃城温泉 15:30 = 倉渕村 = 17:05

岩櫃山の場所

岩櫃城温泉 くつろぎの館 (¥400)



 
吾妻線郷原駅から見上げる岩櫃山は、奇岩怪石の妙義山にも似た特異な山容をあらわにしている。
 山のスケールこそ小さいが、岩櫃山の山歩きはちょっとした冒険気分を味わうことができる。
 この山の一番の魅力は、切り立った山頂からの展望。
 ここでは大空にいるような錯覚さえ覚える。
 春のツツジや秋の紅葉が岩壁を飾る季節が良い。
 また落ち葉を踏んで歩く季節には視界も開けて、岩山ならではの迫力ある高度感も出てくる。
 しかし細い稜線は変化に富み、頂上周辺は岩稜になっている。
 クサリや鉄梯子も多く、初心者は特に注意が必要である。
 尾根筋にはカモシカを、空にはイヌワシの姿を見ることもできる。
                                  上毛新聞社『群馬の山歩き130選』より



 嵩山から下山して、JR吾妻線沿いに車を走らせます。
 原町の登山口標識に誘われて、沢コースに車を進めたが引き返した。
 我々は、あくまでも表から登ると決めていた。
 後で判ったことだが、沢コースがメイン登山口のようで、駐車場やトイレ等の設備も整っているらしい。

郷原駅にさしかかる頃、岩櫃山の岩壁が圧倒的な威圧感で迫ってくる。
のどかな集落に突き当たったところに、登山案内の看板があった。

駐車する所がないので、農家の奥さんに話して停めさせてもらった。
赤岩コースは、落石のため閉鎖中とのことだった。


旧赤岩通りを登る。
岩櫃山を大きく東に迂回して、沢コースに合流する道だ。
最初から沢コースの方が正解だったかも。
赤岩コースの入り口は閉鎖ロープが張られ、道は荒れているようだった。

東斜面を捲いて北側に廻り込む道は、終始トラバース気味に登っている。
落ち葉が堆積した道は定かではなく、あまり利用されていないようだった。
雑木林のため、展望はない。

登山道の下に、肥満気味のカモシカ発見。
落ち葉を掘り返して、新芽を食べているのだろうか。

JR吾妻線の電車の音が聞こえてきた。

 登山道案内板
 落ち葉のトラバースが続く
 日向ぼっこのカモシカコさん            ▲ 頭が痒いカモシカオ君

岩櫃城本丸跡の分岐を過ぎた辺りで、別のカモシカが登場します。
木の幹で頭を掻いている姿が、いじらしい。
カモシカを観察するために、ここでラーメンランチにした。
彼(彼女?)は急斜面を難なく登って行く、なんとも羨ましい限り。


櫃の口と呼ばれる水場から先は、大岩が現れる。
岩の間を縫って登ると、いきなり太鼓に乗せて、おどろおどろしい修験者風の大声が響き渡った。
気の弱いK2coupleは、信仰の山にちょっと不安がよぎります。
ところが意外なことに、その声の正体は若い女性二人だった。
真似をさせてもらったら、岩間の洞窟に反響した自分の声が不気味だった。

広い岩場に着くと、いきなり大展望が開けます。
正面の岩峰が岩櫃山の山頂だ。
クサリと梯子で一旦下る。

 山頂へは一旦岩場を下る

九合目と山頂手前で二つのグループに逢ったが、彼らも沢コースを登ってきたようだ。

山頂岩峰に付けられたクサリや梯子が、いかにも怖そうに見える。
下は200mの絶壁だ。
不安そうなはらっぱを連れて登る。
15mほどのクサリとその上は鉄梯子。

天気は薄曇りで、風はなかった。

 手前岩場から山頂岩峰がそそり立って見える

山頂は狭かった。
赤城、日光、谷川、志賀、浅間そして榛名山が近い。
子持山、小野子山、十二ヶ岳も、すぐ手の届きそうなところにある。


 山頂でビビリ立ち        ▲ おいちゃんも頑張って登ります

見下ろせば、吾妻川のゆったりとした流れに吾妻の町並み。

押し寄せる高度感に、平衡感覚がおかしくなり立っているのが難しい。
人間のバランス感覚ってどうなっているのだろう。
引きずり込まれそうな錯覚に陥る。

 山頂から郷原を見下ろす

はらっぱは帰りが心配で、落ち着かないようだった。
勇気を振り絞って、下山します。

 登ったら下りなきゃならない

山頂東峰に戻って休んでいると、コゲラかな?
下の木立から、カカカカと木をつつく音が聞こえてきた。

カラカラの喉にレモン水が美味しい。
モヌケになった身体にジワジワとレモン水が沁みこんで、復活宣言です。

はらっぱも数年前と比べれば、安心して見ていられる。
岩の技術が身についたと言うか、度胸が身についたと言うか・・・
楽しかったね。
女は度胸、男は愛嬌 ・・・ 時代は変わりつつあります。

 山頂から下って緊張感から開放される
イヌブナの子葉 スミレ ヤブレガサ キケマン

帰り道、例のメッチェン二人は未だ岩の前に座り込んでいた。
太鼓はアメリカインディアンの道具で、口上もそれに関係あるらしい。

落ち葉で埋まったトラバースを下り、登山道が崩壊していた地点では、登る時よりも上手に迂回できた。

桜は満開。
岩壁の下を歩いていると、山頂から男の声でコールが届いた。
山頂に3人の人影が見える。

 山頂の想いを胸に、下から見上げる 

城をかたどった町営の岩櫃城温泉に入って、ゆっくりと汗を流す。
露天風呂は、天然温泉の懸け流しがいい。

近くの低山ハイクも、捨てたもんじゃないな。

この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである
(経緯度線は20秒間隔)