2005.06.19 (日)   K2Couple No.0134 

谷川岳
たにがわだけ(群馬県・新潟県)
1,977m
岩稜が楽しい西黒尾根から双耳峰へ

コース最大標高差 : 1,130
コース累積標高差(+) : 1,330
コース累積標高差(−) : 755
コース距離 : 7.8 km
行動時間 : 8'35"
* 距離と累積標高差はKASHMIR 3Dによる概算値です
* 距離は地図上のもので、実際の登山道の長さではありません
ラクダのコブ(ラクダの背)から谷川岳双耳峰

  6:00 = 高崎IC/関越道/水上IC = 7:00 谷川岳RWベースプラザ

 ベースプラザ 7:10 ... 7:20 登山口 ... 10:00 ラクダのコブ 【L1】 10:15 ... 10:30 ガレ沢のコル ... 11:45 氷河ノ跡 ...
 12:00 ザンゲ岩 ... 12:30 トマの耳 ... 12:50 オキの耳(谷川岳)12:55 ... 13:10 トマの耳 13:15 ... 13:20 肩ノ小屋 【L2】 13:40 ...
 14:10 天狗の留まり場 14:30 ... 14:45 熊穴沢避難小屋 ... 15:30 《谷川岳RW》 ... 15:45 ベースプラザ
 ベースプラザ15:55 = 16:05 湯檜曽温泉 16:50 = 水上IC/関越道/高崎IC = 18:00


 この地図は、国土地理院発行の地形図を使用したものである (経緯度線は20秒間隔)

谷川岳の場所

湯檜曽温泉 ホテル湯の陣 (¥1,050)


 これほど有名になった山もあるまい。
 しかもそれが「魔の山」という刻印によってである。
 いま手許に正確な調査はないが、今日までに谷川岳で遭難死亡した人は二百数十人に及ぶという。
 そしてなおそのあとを絶たない。
 この不幸な数字は世界のどこの山にも類がない。
 私の年少のある山好きの友人は、母から登山の許しは受けたが、谷川岳は除外、という条件つきだったそうである。
 それほど怖れられているにも拘わらず、山開きの日は数百人がおしかけて、行列登山をしているさまが新聞の写真で報じられる。
 東京から近く、二千米に近い高度を持ち、しかも標高のわりに岩根こごしい高山的風貌をそなえているからでもあろうが、やはり人気の大
 きな理由は、谷川岳という評判にあるのだろう。
 これほどしばしば人の耳を打つ山の名は少ない。
 絶えず何か事件を起こしている。

                                        深田久弥『日本百名山』より抜粋



 谷川岳山頂トマの耳から東に延びるのが西黒尾根。
 この尾根は西黒沢をはさんで天神尾根と、マチガ沢をはさんで岩稜の東尾根と相対している。
 谷川岳の登路としては、天神尾根とともにポピュラーなものの一つで、特に天神尾根コースではちょっと物足りないという登山者に勧めら
 れる。
 急な尾根を一直線に登りつめるコースで、特に前半の樹林帯はかなり身体にこたえる登りとなる。
 この樹林帯を抜けると、右にマチガ沢、左に西黒沢が開け、アルペン的な景観が広がる。
 森林限界を抜けてからも相変わらず急登が続くが、その素晴らしい展望を眺めながらの登高は快適でさえあるだろう。
 なお、稜線は切れているところもあるので、山慣れないハイカーは不安を感じることもあるだろうが、慎重に行動すれば問題はない。
 尾根筋の残雪が消えるのは6月初旬。
 高山植物の開花は山頂付近で7月に入ってからとなる。
                                        上毛新聞社『群馬の山歩き130選』より


夜半に雷雨があった。

天気予報では新潟は晴れ、群馬は曇り、午後3時頃から山沿いは夕立があるかも知れないという。
ならば早く出れば大丈夫と思って寝たのに、朝起きると霧雨が降っていた。
行こうか止めようか迷った末、結局1時間遅れて家を出る。
グズグズしたのは失敗だった。

水上のコンビニで食料を買出し、谷川岳RWのベースプラザ駐車場に入る頃には雨も上がっていた。

西黒尾根の取付きは急登の連続だが、花々に励まされてラクダのコブまで樹林の中をしこしこ進みます。

 西黒尾根樹林帯の辛い登り 

樹林帯に響くハルゼミの単調な合唱は、夏山シーズンの到来を告げる。
今日は、枝につかまっているハルゼミ君を初めてカメラに収めた。

ラクダの岩場はホールドが豊富です。

 ラクダのコブ 下はマチガ沢
                                   ▲▲ ラクダのコブ通過

振り返ると朝日、白毛門方面のガスが切れて嬉しい展望です。

東尾根のシンセン岩峰も特異な形で聳え立っている。

 マチガ沢側から登り上げる
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ラクダの背からマチガ沢の切り立った岩壁が望まれ、谷川の双耳峰はガスから気まぐれに顔を覗かせていた。
マチガ沢から吹き抜ける風が心地よい。

コブの岩場を順調にクリアーして、ガレ沢のコルまで少し下る。
巌剛新道が合流。
氷河跡やザンゲ岩を見上げながら、もう一息だと気合を入れなおします。

 ガレ沢のコル上部テラスから望む朝日岳
                   ▲ ガスのかかったマチガ沢上部の岩壁を見上げる 清水峠から朝日岳に続く馬蹄形稜線 

マチガ沢側には雪の消えた跡にシラネアオイやハクサンイチゲ、ハクサンコザクラの群落が揃い踏みです。

しかし、いいことばかりではありません。
ブヨの猛攻に遭い、腹が立つのを通り越して気が狂いそうになった。
人間の防衛能力をはるかに超えています。
下ろしたザックにかぶりつくブヨに恐れをなして、ラーメンは諦める。

肩ノ小屋の管理人によると、アキアカネ(トンボ)が出現して、ブヨを食べてくれるまではこの状況が続くそうである。 
うひゃ〜。

 まだまだ道半ば

天神尾根はなだらかな起伏を描いて、天神峠に続いている。

ロ−プウェーの天神平駅や白毛門登山口に並んだ車までも見えた。

夫婦がひっくり返っていた。
登り始めて間もなく鉄塔の辺りで勢いよく追い越して行った夫婦だった。
亭主がばてて壊れかかっている様子。
仕事疲れか二日酔いでしょう。
うちの亭主は元気はつらつだった。

 天神尾根に何かを見つけて騒ぐ

広くなった尾根の岩稜をブヨと一緒に急登する。

氷河跡の一枚岩はマチガ沢寄りに登ればよい。
道ははっきりしないけれど、どこでも登れる感じだ。

マチガ沢の岩峰に張り付いているシャクナゲがきれい。
登山道わきの岩陰にはホソバヒナウスユキソウやミヤマキンバイが可憐な花を咲かせています。

 氷河跡の一枚岩

ザンゲ岩の横を登る。
ザンゲ岩にもアズマシャクナゲが沢山咲いており、近くまで登って様子を見に行く花好きおばさんになる。

ザンゲ岩と書かれた標識はみんながさわるせいか、ぐらぐらしてるよ。
それとも雪の重みのせいかねえ。

ばかっ、危ないから遊ぶな〜。

 ザンゲ岩は花がいっぱい             ▲ だいぶ近付いた
ベニサラサドウダンツツジ ナエバキスミレ タチツボスミレ ハクサンイチゲ ハクサンコザクラ
シラネアオイ ミヤマカラシ イワカガミ ミヤマキンバイ ミヤマキンポウゲ
ギンリョウソウ カタクリ シロバナニガナ タネツケバナ ホソバヒナウスユキソウ
 肩の広場の大雪田を登る(ブヨから開放される)             新装なった肩ノ小屋                  ハクサンイチゲ 
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肩の広場に残っている大雪田を登る頃には、またしてもガスが出始めた。

トマの耳を通過して最初にオキの耳をめざします。

振り返って眺めるトマの耳と西黒尾根は、雪渓とガスで幻想的な雰囲気を醸し出しているじゃありませんか。
これが山だよと妙に納得した。

 マチガ沢と西黒尾根

トマの耳を下った時まではオキの耳が見えていた。

この鞍部はお花畑と言ってもいいくらい花が豊富だ。
雪解けを追いかけるように花が咲いてゆく。
シャクナゲも多かったが、旬は過ぎて少しよたっていた。
人間に例えれば私達くらい。

ぽつりぽつりと雨が落ちる。
谷川岳は利根川と信濃川の分水嶺であり、気象変化の激しい山。
いやな雰囲気です。

 トマの耳を下ってオキの耳をバックに

オキの耳に到着。

ぽつぽつ雨が本気になり始めたので、雨具を羽織って仕方なくトマの耳まで引き返します。
雷が怖かったから、心に余裕がない。
天気予報のせいで、雷のことが頭にこびりついていた。

ちょっと残念だがまっ、いっか。
登る道すがら山頂の展望は充分楽しんだもんね。

雨に打たれるハクサンイチゲが気の毒だったが、案外雨が嬉しいのかも。

 トマとオキの中間点から一ノ倉が見えた
           オキの耳で雨が本気を出す                   急いでトマの耳に戻る            トマの耳でとりあえずの1枚です


 肩ノ小屋で雨宿りするうちに青空が戻り、見通しの悪さを愚痴ることしきり。
 こんなことならハクサンイチゲと一緒に雨に打たれてりゃ良かった ・・・。

ガスで見え隠れするオジカ沢の頭を見ていると、若くはないが山慣れた女性二人が平標から軽快に縦走して来た。
すげ〜、疲れた様子など微塵もないミズパワーを見せ付けられる。

天神尾根を辿って高度を下げると、相変わらずのブヨ攻撃に加えて暑い。

新しいRWがほぼ完成していた。
RWの下にはホウノキの白い花が沢山咲いているのが見えます。

 肩ノ小屋より万太郎方面

RWを降りて歩いていると、突然の雷雨に見舞われ、まさに土砂降りに。
間一髪ベースプラザに逃げ込みセーフ。

復活を果たした湯檜曽の湯の陣に寄る。
雷鳴と雨の中で露天風呂三昧です。

水上名物の生どらを両親のお土産に買い込み(父の日対策)、楽しかった西黒尾根の充実感を胸に、関越道を戻った。

▲ 仙ノ倉方面( 爼嵒と川棚ノ頭 )